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「アイ、貴方動揺していたわね?体育館裏で集まる前に、ペアリングしているから分かるのよ?」
レイが眉間に皺を寄せていつもより大きく表情筋を動かす。レイの言葉にドキッとしていた。
これが動揺というのかと思った。
「した…したかもしれない…」
「気をつけて、動揺の感情も私達には毒よ」
そう、私達のプログラムにも制限がある為、使い過ぎると壊れてしまう。そして、私とレイのようにペアリングが出来るAIは他のAIよりも危険度が高い。
犬猫にチョコを間違った認識で与えてしまうのと同じだ。
「分かってる」
「あの男の子はどうする?あなたはあの時、ペアリングだけを使っていた?」
冷静に私たちは状況把握をしている。レイには嘘をつけない。それをわかっているから、私は少し苦しい。
「ペアリングだけ、男の子は降りてきた時には既に意識がなかった。脳震盪を起こしていたから。記憶も曖昧なはず」
ほっと胸を撫で下ろしたレイを見て、こういう所は『人間』みたい。
目を少し細くして見ていると、レイが
「大丈夫?」
と覗き込む形で、言ってきた。
「うん」
しっかり私達には感情が芽生えてきている。
先生はきっと安心してくれる。
こういう時、レイがいると安心する。私達は依存し合うように作られているからだろう。そう思うと動揺に似た感情が込み上げてくる。
「アイ、教室に戻るよ。午後があるから」
「うん」
私達は固く手を結んで、教室へ走っていった。教室に帰ると同時にチャイムが鳴り、斜め前の席の子がニコッと笑い、手を出してきてタッチしてきた。
「レイちゃん、アイちゃん、セーフ良かったねー!」
その日、初めて『友達』が出来た。