テラーノベル
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今更注意:太宰は女体化しています!!!
「……っ、は、……あ、……」
暗い部屋の中、断続的に漏れるのは、苦悶に満ちた呼吸音だけだった。 太宰はベッドの上で、文字通り「くの字」に折れ曲がっている。いつもは饒舌に世界を呪う唇は、今は真っ白に乾き、激痛に耐えるためだけに食いしばられていた。
「おい、太宰……しっかりしろ」
中也の声には、隠しきれない焦燥が混じっている。 ただの生理、と侮ることはできなかった。彼女の細すぎる身体にとって、体内の荒れ狂う嵐は、まるで致死毒でも盛られたかのような衰弱を招いている。
「ちゅう、や……いたい、……お腹、壊れちゃったみたいだ……」
太宰が震える手を伸ばし、空を掻く。中也はその手を迷わず掴み返した。驚くほど冷たく、そして細い。普段、異能を無効化されるのを嫌って触れ合うことの少ない二人の間に、生々しい「命の重さ」が横たわる。
「壊れてねぇ。……っそ、冷てぇな。血の気が引いてやがる」
中也は躊躇うのをやめ、靴を脱いでベッドに潜り込んだ。 背後から太宰の身体を抱き寄せ、自分の胸板と腕で彼女を包み込む。氷のような彼女の身体に、中也の熱い体温がぶつかった。
「……っ、熱すぎ、るよ……中也……」 「我慢しろ。手前が冷えすぎなんだよ」
太宰の額には脂汗が浮かび、髪が張り付いている。 彼女は痛みのあまり、中也の腕に爪を立て、逃げ場のない激痛から逃れるように彼の胸に顔を埋めた。
「ねぇ、中也。……いっそ、このまま殺して。……これ、心臓まで、握り潰されてるみたいだ」 「バカ言え。こんなもんで死なせてたまるか」
中也は彼女の腰を、砕けない程度の、けれど確かな力強さでさすり続ける。 太宰の呼吸が、痛みの波が来るたびに「ヒッ」と短く止まる。そのたびに中也は、彼女の耳元で「吐け、呼吸しろ」と、戦場での号令のような、けれどこの上なく慈愛に満ちた声をかけ続けた。
一晩中、中也は眠らなかった。 太宰が痛みのあまり気を失うように眠り、また痛みで目を覚ましては震えるのを、ただひたすらに受け止める。
「……な、か……」 「ここに居る」 「……いかない、で……」 「行かねぇよ。手前が『もういい』っつって、俺を蹴り飛ばすまでな」
夜明け前、ようやく薬と体温が効いてきたのか、太宰の呼吸が規則正しくなった。 中也のシャツは、彼女が握りしめたせいでシワだらけになり、涙と汗で汚れている。
けれど、中也はその汚れをひどく愛おしいもののように見つめ、腕の中の小さな頭に、そっと顎を乗せた。
「……さっさと元気になりやがれ、大馬鹿野郎」
その言葉とは裏腹に、彼女を抱きしめる腕の力は、夜が明けるまで緩むことはなかった。
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