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やっほー。
チャッピー君とやってたらなんか長くなったのでシリーズとして数話ですが載せときます。ほぼチャッピーそのままです。
⚠nmmn⚠vantb⚠stgr⚠
二次創作です。御本人様とは一切関係はありません。
路地裏に、物騒な沈黙が落ちた。
つぼ浦はロケットランチャーを肩に担いだまま、固まっている。
引き金に指はかかっている。
照準も合っている。
――問題は、思考だけが止まっていることだった。
「……撃たないのか?」
ヴァンダーマーが、妙に近い
「警察?」
「……」
「つぼ浦?」
「……っ」
ようやく声が出る。
「……今、変な言い方しただろ……」
「どれだ」
「“装填が済んでいる”とか……」
「事実だ」
「言い方!!」
つぼ浦の耳は真っ赤だ。
だがロケランは微動だにしない。
「下ろせ」
「無理……」
「なぜだ」
「今下ろしたら……」
「下ろしたら?」
「……色々想像するから!!」
路地に風が吹く。
「ほう」
ヴァンダーマーは一歩、距離を詰めた。
「では、想像とは何だ?」
「聞くなァ!!」
叫ぶが、身体は固まったまま。
「面白い」
低く、はっきりとした声。
「武装状態で思考停止する警察は、初めて見る」
「見世物じゃねぇ!!」
「だが観察価値は高い」
つぼ浦の指が、わずかに震える。
「ち、近い……」
「この距離で撃てば、儂も巻き込まれるな」
「それを言うな!!」
ヴァンダーマーは平然としている。
感情は揺れない。
――ただし、興味だけは明確だった。
「儂が一つ言葉を選べば」
「選ぶな!!」
「お前はさらに固まる」
「やめろ!!」
数秒。
永遠みたいな沈黙。
「……撃たない」
つぼ浦が絞り出す。
「今撃ったら……負けた気がする」
「ほう」
ヴァンダーマーは満足そうに頷いた。
「勝敗を意識したか」
「くっそ……」
つぼ浦はやっとロケランを下ろし、顔を覆う。
「もう無理……」
「安心しろ」
ヴァンダーマーは踵を返す。
「今日はこれで十分だ」
「なにが十分なんだよ……」
「儂が、楽しい」
それだけ言って、
永久指名手配犯は夜に溶けた。
残されたつぼ浦は、
ロケランより重い敗北感を抱えていた。
ロケランが――下ろされた。
銃撃戦が終わって数分。
にもかかわらず、つぼ浦は路地の真ん中で微動だにせず立っていた。
「……つぼ浦?」
無線が鳴る。
「状況確認できる?」
「……」
「つぼ浦さん?」
別の警官が近づく。
「撃たなかった理由、報告を――」
「…………」
完全にフリーズしている。
「おい、ちょっと待て」
「え、ダウンしてないよな?」
「HP見た?」
「見てる、満タンだぞ」
特殊刑事課の警官たちがざわつく。
「……まさか」
「精神ダメージか?」
「相手、モズのボスだろ」
「ヴァンダーマー……」
その名前を聞いた瞬間。
「言うな!!!!!」
つぼ浦が叫んだ。
「え!?」
「生きてた!?」
「急に元気!?」
「ヴァンダマーとかキャンターマーとか」
つぼ浦は頭を抱える。
「いやハンバーガーだったか……」
「名前、完全におかしくなってるぞ」
「救急呼ぶ?」
「呼ぶな!!」
即座に言い返す。
「俺は正常!!」
だが、顔は真っ赤だった。
「……ロケラン構えたまま止まってたけど」
後輩警官が恐る恐る言う。
「何があったんすか?」
「……」
一瞬、黙る。
「……下ネタ」
「は?」
「向こうが」
「……誰が?」
「ワクワクセクハラおじさんが」
全員、理解した。
「あー……」
「なるほど……」
「それは……」
「きついな……」
「同情すんな!!!」
つぼ浦はバットを振り上げる。
「俺は警察だぞ!? 正義だぞ!? なんでそんなことで――」
「でも固まってましたよね」
「黙れ!!!」
その様子を、
少し離れた屋根の上から――
「実に興味深い」
ヴァンダーマーは、冷静に観察していた。
「恐怖ではない。怒りでもない」
独り言のように呟く。
「羞恥で行動不能」
初めての感情が、胸の奥で静かに騒ぐ。
「……これは、癖になるな」
無線越しに聞こえる、つぼ浦の怒鳴り声。
慌てる警官たち。
守られるべき正義。
それらすべてが――
ヴァンダーマーの娯楽だった。
「次は」
ヴァンダーマーは踵を返す。
「もう少し、言葉を絞ろう」
夜の街はまだ、長い。
ノシ