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少し慣れ始めた仕事から帰ると、まず洗濯物を取り入れる。
そしてお茶を飲んだあと、夕食の準備をする間に、千愛が放課後の学童クラブから帰って来る。
これまでは、長期の休み中にしか学童クラブへ行っていなかった千愛だけれど、私が仕事を始めてしばらくすると、自分から放課後の学童クラブへ行くと言い出した。
「ただいまー」
「おかえり」
「宿題、全部学童クラブで終わった」
「そうなの?えらいね」
「だからゲームできる」
そうなるのよね。
でも帰宅時間が遅くなった千愛は、ゲームの時間をきちんと守るようになった。
そして、夕飯前にテーブルセッティングをするのが、千愛のお手伝いに定着しつつある。
「お箸とコップのあとは、何?」
「中皿をみんなに出しておいてくれる?スパゲッティサラダを取る用」
「オッケー」
時々大きすぎたり、小さすぎたり、どうしてこれ?っていうお皿が並んでいることもあるけど、機嫌よく手伝ってくれるので、そのまま使うことにしている…と…今日は
「なかなか渋い皿に、サラダだな」
と、パパも笑って千愛と私を順に見た。
「千愛のセンスね。角皿でお洒落かも」
「確かに……ん、生姜焼き美味しい。千愛、学童クラブ楽しかったか?」
美味しい、と私を見る夫は、変わったと思う。
それ以上大袈裟に、ありがとうをたくさん言うわけではないけど。
「サラダ、おかわり。もっとハムのところ欲しい」
ちょっとわがままなおかわりをする千愛の隣から
「ママは、大丈夫だったか?」
夫が私に聞く。
「うん。少し慣れ始めた時に繁忙期に入って、助かったって思った」
「はんぼうき、って何?」
「繫忙期は、すごく忙しい時期ってこと。ママは花屋で仕事をしているから、クリスマス近い今が忙しい」
「クリスマス~明日、学校終わり~」
「嬉しそうね、千愛」
「今年はママが忙しいから、クリスマスケーキはパパが買ってくる。予約してあるからな」
「どんなケーキ?」
「それは、千愛にもママにも内緒」
と、夫は美味しそうにビールを飲んだ。
私も、夫を頼ることをしてこなかったのかもしれない。
圧倒的に夫が悪いと思う態度だったことは、かばいようがない。
でも…本当に最初の最初から、家のことももっと頼ればよかったのかも、とほんの少しだけ思う。