テラーノベル
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🎼🍍「こさめ、明日の撮影、キャンセルした」
その言葉を聞いた瞬間、こさめは顔を上げた。
🎼☔️「……え? なんで?」
🎼🍍「天気も悪そうだし、体調も整ってないだろ。
撮影内容だって、外ロケで走ったり飛び跳ねたりって、ヒート明けのΩにやらせる仕事じゃない」
🎼☔️「でも……大事なグラビアだったんだよ……?
こさめ、すっごく楽しみにしてて……マネージャーなのに、勝手に……!」
🎼🍍「マネージャーだから判断したんだよ」
なつの声は冷たくて、逆らえない色をしていた。
こさめはぎゅっと手を握りしめる。
🎼☔️「こさめ、アイドルなんだよ……。
“なつくんの番”である前に、“こさめ”っていう名前で仕事してて……」
🎼🍍「“こさめ”って名前、俺が守ってやってるんじゃないか。
表でアイドルやれてるのも、全部俺が“お前に必要なものだけを残してる”からだ」
🎼☔️「……必要なものだけ、って……じゃあ、いらないものは勝手に捨てるの……?」
🎼🍍「そうだよ。俺の番だろ。俺の判断に従え」
そう言って、なつはこさめの前に立つ。
その目は、完全にマフィアの“支配者”のものだった。
🎼🍍「お前、もう“全部俺に預ける”って言ったよな。
アイドルとしての顔も、生活も、快楽も――全部、俺が決めていいって。
なのに今さら、“アイドルのこさめ”にしがみつくのか?」
🎼☔️「……っ、しがみついてない……っ」
でも、うまく言えなかった。
なつに甘えることに慣れてしまったせいで、
“自分で立つこと”が、もう怖くなっていた。
🎼🍍「わかってるよ。こさめがどんなに仕事に本気だったか。
でも――もう、お前は“俺のもの”なんだよ。
俺の許可がないと、舞台にも立たせない。
誰にも見せたくないから。
誰にも、奪われたくないから」
🎼☔️「……なつくん、こさめのこと、縛ってる……」
🎼🍍「うん。そうだよ。
だって、放っといたらお前、また他のやつに目を向けるじゃん。
カメラマンに甘い匂い嗅がれたとき、ムカついて仕方なかった」
低い声でそう呟きながら、なつはそっとこさめの手首を掴んだ。
🎼🍍「……本当は今日だって、外に出してやりたくなかったんだ。
誰にも見せたくない。“俺だけのΩ”なんだから」
🎼☔️(……やっぱり、この人……壊れてる)
でも――
🎼☔️(壊れてるのは、こさめも同じかもしれない)
怖いはずなのに、
この“狂った独占”の中にいると、落ち着いてしまう自分がいる。
なつに抑えられて、守られて、命令されて――
それがどこかで「心地いい」と感じてしまうのが、もっと怖かった。
🎼☔️「……でも、ひとつだけ言わせて」
静かに言うと、なつはほんの少しだけ、眉をひそめた。
🎼☔️「こさめは、“なつくんの番”で、“アイドル”なんだよ。
どっちも、こさめにとっては本物で、どっちも、ぜったい捨てたくない」
🎼🍍「……」
🎼☔️「だから、お願い。捨てないで。
こさめを、“なつくんの番”のまま、“ステージにも立たせて”……」
なつはしばらく黙っていたが、
やがて、小さくため息をついた。
🎼🍍「……わかった。
でも、俺が“危ない”って判断したら、容赦なく止めるからな」
🎼☔️「うん……ありがと、なつくん」
にこっと笑って、こさめはようやく表情をゆるめた。
けれどなつは、その笑顔の裏にある“無理してる影”を、ちゃんと見抜いていた。
🎼🍍(甘やかしてるようで、少しずつ削ってる。
それを、あいつはまだ気づいてない)
“自由”なんて言葉を持たせたまま、
少しずつ、檻のなかに沈めていく――
それがなつのやり方だった。
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