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#大人の恋
鷹槻れん

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#ハッピーエンド
美凪ましろ
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ツナと千切りキャベツを挟んだイングリッシュマフィンと野菜サラダにゆで卵、そしてトマトジュースはあのコースターの上にのせた。
昨夜、海がベッドに入ったのはかなり遅い時間だった。
きっと弥生とのやりとりがヒートアップしたんだろう、なんて言って宥めたんだろう。
あの雰囲気だと、そうとう弥生は荒れたんじゃないかしら。
ふふっ
「おはよう、なんだか楽しそうだね」
「おはよう海、この間のネクタイだけどコースターにしたの」
「へぇ〜、綺麗に出来てるね」
ふふふふ、昨夜散々、弥生に言われたくせに。
「それで、昨夜お義父さまのたちの食事の時に使ったんだけど、お義父さまにこのネクタイの事を聞かれて取引先の女性から頂いたことを伝えたらお義父さまが」
「親父が?」
「既婚者が女性からネクタイを頂くなんてっておっしゃっていて。もしかしたら、お義父さまから何か言われるかも知れないです。迂闊なことをしてしまってごめんなさい」
下を向いて、申し訳なさそうなポーズをとってみる。もちろん、申し訳ないなんて1mmも思わないけど。
「いや、俺もきちんと断るべきだった。奈緒にも嫌な思いをさせてごめん」
「私はちっとも嫌な気分にはなってないわよ。むしろ、こんな綺麗なコースターができたから。いろんな飲み物の下に敷きましょう」
「そう言ってもらえてよかったよ」
「早く食べましょう」
海は椅子に座ってトマトジュースを飲みながらコースターを見つめていた。
青バラコースターの反応が面白くて、お掃除の間スキップしそうになった。
「あ〜面白い」
つい声に出てしまう。
そこに、来客を告げるチャイムが鳴った。
ドアフォンを見ると宅配業者だった。
荷物を受け取り送り主を確認すると、あれの依頼をした研究所からだ。
急いで中を開け報告書に目を通す。
トリアゾラム
小さな袋2袋、ワインに溶けていたものどちらもトリアゾラム、市販名はハルシオン。
やはり、睡眠薬だ。
前回、私はこれを何度も何度も飲まされたんだ。
弥生は海の子供が欲しいとか言いながら、妊娠中だった私や授乳中の私にハルシオンを飲ませていたというの、子供を何だと思っていたんだろう。人形じゃない、大切な命なのに。
海も自分の子供なのに。
あの頃、不眠や突如の睡魔は妊娠や出産で私の神経が不安定になっていたからだと思っていた。
本当は、ハルシオンを定期的にしかも適量では無く多く盛られていた可能性もある。
だから
だから
あの夜、正常な判断ができなかった。
薬の副作用がなければ
あんなところに、永遠を残すはずはなかった。
雨の中、裸足で歩くことはなかった。
永遠はどうなったんだろう。
弥生と海が育てたんだろうか?
弥生に育てられたんだろうか?
あの日、永遠が寝ていたソファに抱きついて声が枯れるまで泣いた。
しばらく何も出来ずにソファにもたれてぼんやりとしていた。
顔は泣いていたのがわかるほど目が腫れている。
しっかりしないと。
返送されてきたものと報告書を写真に取るとパソコンに送信する。
ワインの染み込んだスポンジは水で流してからビニール袋に入れて捨て、薬が入っていたチャック付き袋と報告書は一緒にセクションファイルに収めると鍵付きの引き出しに入れた。
夕食を届けに行くとお義父さまから目の腫れについて聞かれたので、韓国ドラマで涙が止まらなくなったと答えると
「そんなに韓国ドラマは泣けるのか?弥生も今朝、ネットで韓国ドラマを見たら涙が止まらなかったと言って目を腫らしていたんだよ」
と、お義父さまは言っていたが弥生が泣いていたのは、きっとあの青いバラネクタイを好みじゃいと言われ私に裁断され”取引先のおばさん“と言われたからよ、と言えたらどんなにスッキリするか。
いや、
そんなものではスッキリする訳がない。
海にも韓国ドラマで泣いたと説明をしてベッドに入ってからもイヤフォンを使って適当なドラマを視聴した。
今夜は海の戯言は聞きたくなかった。
優しい言葉をかけられたら、呪いの言葉を怒鳴り散らしたくなるから。
弥生と共に地獄へ落ちれ、と。
コメント
1件
第17話、読み終えました。コースターにされた青バラのネクタイ、裁断した日のことを思い出して思わず笑みがこぼれる主人公の姿がまず印象的でした。そして届いた報告書──トリアゾラム、ハルシオン。あの頃の「不眠や睡魔」が実は睡眠薬のせいだったと確信する場面、胸が締め付けられました。「永遠」を思い、声が枯れるまで泣いた描写に、やり直しの重みと怒りがひしひしと伝わってきます。ラストの「地獄へ落ちれ」という言葉に、彼女の覚悟が感じられました。次が気になります。