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月城 蓮桜音
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シュメール
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羽海汐遠
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「にゃぁん」
「急ぎましょう」
ドォンドォンという音が止み、揺れもおさまった。
猫のアリスト様はうろうろして落ち着かない様子だ。
釜の中の薬の色は黄色に変わっている。もういいだろう。
スプーンで掬って、冷ます。さすがにこのままでは熱すぎるだろう。
あとは、言語薬。
マウスグラスの種子を入れて、こちらの水溶液とこの薬液を混ぜる。
とても綺麗な水色の液体が出来た。まるで、アリスト様の眼の色のような。
ただ、見た目がとても頂けないが……。
プカプカと浮かぶそれがニタリと笑う。マウスグラスの種子が膨らみまるで人の口のようだ。
最後にこの液体を十滴垂らす。
ポワと、マウスグラスの種子が小さくなり、青色が濃くなった。
よし、出来た。
私は、スプーンを手に持ったところで、考えてはいけないことを考えてしまう。
このまま、アリスト様を猫のままにしておけば――。
どうせ、木の魔法は私しか使えない。それなら、私が彼女を……。
「にゃぁん」
真っ直ぐにアリスト様は、私を見てくる。
何を馬鹿な事を考えているのだろう。彼女は私ではなく、アリスト様を待っているのだ……。
スプーンを一度おろし、自分の頬をペシリと叩く。
その様子を、青い眼がじっと見ている。
もう一度、スプーンを持ち上げ私はアリスト様の口へと運ぶ。
ごくん
飲み込んだ瞬間、苦しそうに身体をひねっていた。
目の前で、どんどんと変化していく。私は慌てて、マントをアリスト様にかける。彼の服を横に置き、変化が終わるのを待つ。
人の身体、猫の耳と尻尾、完全にアリスト様に戻った。
「にゃぁ」
声はまだ猫のままだ。
「アリスト様、あとはこの言語薬を――」
容器を急いで手に取り、彼はそれをすべて飲み干す。
「どうですか?」
「あ、あー、うん、大丈夫。ありがとう、ルード。急ごう、リサちゃんが心配だ」
アリスト様が服を手に取り、着替えを始める。
私は返却されたマントを自分に着け直していると、アリスト様の耳がピクリと動き、突然走り出した。
「リサちゃん!」
水の魔法で膜をはり、アリスト様は駆けていく。
リサ様に何か起きたのだろうか。
残りの服を回収して、私も急ぎ後を追った。
コメント
1件
うわあ、アリスト様がついに人間に戻った…!薬作りの工程がすごく丁寧に描かれていて、マウスグラスの種子がプカプカ浮かんで口みたいにニタリ笑う描写が印象的でした。ルードが「このまま猫のままにしておけば」と一瞬よぎる本音、ちょっと切なくてドキッとしました。でも自分の頬叩いて踏みとどまるあたり、彼の誠実さがよく出てる。リサちゃんを心配して走り出すアリスト様、戻ってきてくれて本当に嬉しいです!