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ディアブロの蹂躙(じゅうりん)によって、羂索たちの隠れ家は静まり返っていた。
特級呪霊たちは魂の奥底から屈服し、羂索はディアブロの「おもてなし(拷問)」によって、これまでの計画のすべてを吐かされていた。
「さて、と……。一応の決着はついたかな」
リムルが伸びをしながら、傍らで一部始終を見ていた五条悟に声をかける。
五条は珍しく、目隠しの下で呆然とした表情を浮かべていた。
「……ねぇ、リムル。僕、この世界で最強って言われてるけど、君たちの前だとただの一般人みたいな気分だよ。そんな力があるなら、最初からこの世界の呪いなんて全部消せたじゃないか」
五条の言葉には、少しだけ自嘲的な響きが混じっていた。
最強ゆえに、いつも一人で解決しなければならなかった孤独。
リムルはそんな五条の肩を、ポンと叩いた。
「そんなに自分を追い込むなよ。あんたは十分やってるだろ。……そうだ。あんた、しばらく休みは取れるか?」
「休み? 呪術師にそんな概念ないよ。僕がいなくなったら、バランスが崩れて大変なことになっちゃうしね」
「あはは、それなら大丈夫だ。俺の国なら、時間の流れもこっちとは違うし、セキュリティも万全だ。――なんなら、俺の国(テンペスト)に遊びに来るか?」
「……え?」
「特別に招待してやるよ。温泉はあるし、酒は美味い。シュナの作る飯は絶品だぞ。何より、そこには『最強』なんて肩書きを気にするやつは誰もいない。みんな、ただの愉快な仲間たちだ」
五条が目を見開く。
その時、影からヌッと現れたディアブロが、優雅に一礼した。
「クフフフ。リムル様がそう仰るなら、私が最高の執事としてご案内いたしましょう。五条殿、あちらの世界の魔酒は、呪力を練り上げるよりもずっと心地よい酔いをもたらしますよ」
「……温泉、か。いいな、それ」
五条がふっと力を抜き、子供のように笑った。
「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな。あーあ、上のジジイたちが発狂するだろうけど、知ーらないっと!」
「よし、決まりだ! じゃあ、虎杖たちも誘って、みんなでパァーッと行くか!」
リムルが指を鳴らすと、次元の門(ゲート)がゆっくりと開く。
その先に見えるのは、青い空と、活気に満ちた魔物の国。
最強の呪術師が、初めて「一人の人間」に戻れる場所への旅が始まった。