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テンペストの巨大コロシアムは、超満員の観客の熱気に包まれていた。
実況はソーカ、解説はリムルとヴェルドラだ。
「さあ、本日のメインイベント! 異世界の最強呪術師・五条悟に対するは、我が主の守護者たち! 第一試合、カモン!」
五条の前に現れたのは、骸骨の姿をしたアダルマン。
「異世界の聖者よ、私の神聖魔法を耐えられるかな?」
アダルマンが広域殲滅魔法を放つが、五条には一切届かない。
「……へぇ、骨なのに魔法が使えるんだ。でも、当たらないよ」
五条が指を鳴らして『蒼』を発動。アダルマンの結界ごと吸い込み、初戦は五条の完勝!
コロシアムの空気が一変した。
五条悟の前に立つのは、禍々しくも美しい、漆黒の甲殻に包まれた人型の蟲――ゼギオン。
彼はただ静かに佇んでいるだけだが、五条の『六眼』は、かつてない異常事態を察知して激しく警告を鳴らしていた。
(……なんだ、こいつ。魔素の流れに「澱み」が一切ない。存在そのものが、一つの完成された宇宙みたいだ)
「……行くよ」
五条が指先を向ける。
「術式順転・『蒼』」
凄まじい吸引力を伴う空間の歪みがゼギオンを襲う。並の魔物なら捻り潰され、塵も残らず吸い込まれる一撃。
だが、ゼギオンは避けない。
彼はただ、拳を軽く突き出した。
ドォォォォォン!!
「――は?」
五条の目が見開かれる。
吸い込まれるはずの『蒼』が、ゼギオンの拳が放つ**『崩界(ほうかい)』**の波動によって、物理的に粉砕されたのだ。空間そのものを握りつぶすような圧倒的な質量。
「私の主、リムル様に仇なす者ではないようだが……。その術式、興味深い。……次は、私から行くぞ」
ゼギオンの姿が消えた。
瞬き一つ。五条の六眼ですら捉えきれない、因果を無視した超加速。
(速い……! だが、僕には触れられな――)
五条がそう確信した瞬間。
ゼギオンの鋭い突きが、五条の目前数センチで展開されている「無限」の壁に接触した。
バリ、バリバリィィィィィィッ!!!
「っ……!? 嘘だろ!?」
五条の頬を冷や汗が伝う。
絶対に触れられないはずの「無限」の空間に、ヒビが入っている。
ゼギオンの放つ一撃には、究極能力(アルティメットスキル)**『幻想之王(メフィスト)』**による、現実と幻想の境界を曖昧にする力が込められていた。
「無限にある」という概念そのものを、ゼギオンの意志が「存在しない幻想」へと上書きしていく。
「『次元断絶』」
ゼギオンの声と共に、その拳が五条の防御を完全に貫通した。
「――っく!!」
五条は咄嗟に首を捻り、直撃を回避する。
黒い高専の制服の肩口が、触れてもいないのに「切断」され、鮮血が舞った。
「……あはは。参ったな。この僕が、防御の上から削られるなんてさ。……伏黒や悠仁には見せられないね、こんな無様なところ」
五条が目隠しを外し、その蒼き瞳を露わにする。
周囲の魔素が、五条の感情に呼応して激しく渦を巻いた。
「君、名前は? 敬意を表して、僕も気でやらせてもらうよ」
「……ゼギオン。我が主より賜った名だ」
「ゼギオンね。いい名前だ。――じゃあ、行こうか。領域展開、『無量空処』」
五条が指を組む。
刹那、コロシアムの風景は真っ白な虚無の世界へと塗り替えられた。
相手の脳内に無限の情報を流し込み、何もできなくさせる最強の結界術。
だが、ゼギオンは動じない。
彼の背後に、巨大な翅(はね)が展開される。
「……無駄だ。精神の海において、私に情報を流し込むなど、大海に一滴の水を垂らすに等しい。我が魂は、リムル様への忠誠によって既に満たされている」
ゼギオンの全身から、漆黒の魔圧が溢れ出す。
「『幻想崩壊』!!」
五条の『無量空処』の内側から、ゼギオンの放つ「意志の力」が結界を粉砕していく。
「……ははっ、マジかよ」
こうして、ゼギオンの勝利となった。