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よりぬき物語集①~m×k~  『酔えば、君は甘えたになる』 『幸せすぎて死にそうな話』 『悩める受け

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よりぬき物語集①~m×k~ 『酔えば、君は甘えたになる』 『幸せすぎて死にそうな話』 『悩める受け

1 - よりぬき物語集①~m×k~ 『酔えば、君は甘えたになる』 『幸せすぎて死にそうな話』 『悩める受け

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2025年06月27日

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『酔えば、君は甘えたになる』~m×k~



Side目黒


──向〇〇二は酔うとキス魔になる。

そんな話を、初めて耳にしたのはいつだったろう。最初は笑い話程度だった。誰かが酔った席で言い出したこと。ふざけた流れの中で出た冗談のような一言。

けれど、ある日、それが「確かにそうかも」と変わる出来事が起きた。

それは、俺が康二の酒癖を“見た”日だった。



「今度、メンバーで飲み会あるやろ? その日な、仕事の都合で俺だけちょっと早く行くことになるかも」


テレビの撮影が終わったある日。自宅のソファに並んで座り、ゲームの画面を眺めながらそう切り出してきた康二。

まるで何気ない話をするみたいに。

明日晴れるかな、とでも言うように。

だが、俺はその言葉に反射的に反応していた。


「えっ、ダメに決まってるじゃん」


我ながら、珍しく語気が強かった。自分でも驚くほどに。

康二が振り返る。目を丸くして、何言ってんの?とでも言いたげに。


「は?」


その声に、少し戸惑いがにじむ。そりゃそうだろう。普段の俺なら「へぇ、気をつけて行ってこいよ」で終わらせる。なのに、この日に限って食い気味で否定した。


「だって康二、酒癖最悪だから」


静かな口調で、それでも確信を持って言い切った。康二の眉がぴくりと上がるのが見える。


「はあ!? めめにだけは言われたないわ!」


そこからは、まるで火花が散るようだった。


「めめの方がタチ悪いやろ。酔ったら寝るくせに」

「寝るだけならマシ。康二は酔ったら絡むし、あまえるし──」

「それ、そっちもやろ!」


売り言葉に買い言葉。火がついたら止まらない。お互い一歩も引かず、何度もやり合った。冗談まじりにしていたつもりだったが、心の奥には確かに引っかかるものがあった。

──康二を、俺以外の誰かが見るかもしれない。

それが、なんとなく嫌だった。




――――――飲み会当日。俺は遅れて会場に向かっていた。雑誌のロケが長引き、急いで片付けたものの時間は予定を大きく過ぎていた。

タクシーの窓の外、街の明かりがちらちらと流れていく。


(康二、大丈夫かな)


スマホを開くと、グループLINEでは既に何人かが「酔ってるぞ」「やばいぞ」と騒ぎ始めていた。

──嫌な予感がする。

阿部ちゃんのメッセージに「康二、結構飛ばしてる」とあり、佐久間くんの「もうすぐやばそう」という言葉に、心臓がひとつ跳ねた。

やっぱり先に行かせるべきじゃなかった。


「康二、待ってて。すぐ行くから」


誰にともなくそう呟いて、シートベルトを強く握りしめた。

居酒屋の看板が見えたとき、心の中にずっと絡みついていた不安が、ぴし、と音を立てたような気がした。

細長いビルの階段を駆け上がりながら、スマホをもう一度確認する。通知は増えていない。でも、その静けさが、かえって嫌な予感を濃くする。


「……まさか、本当に……」


扉の向こうに広がる賑やかな声。誰かが笑っている。グラスがぶつかる音。料理の匂い。ざわつきの中に、妙に大きな笑い声が交じっていた。

康二の声だった。

一瞬で、胃のあたりがきゅっと絞られる。


(やめてくれ……)



続きはnoteで作者名『木結』(雪だるまのアイコン)で検索して下さい。



『幸せすぎて死にそうな話』~m×k~



Side目黒


足取りが軽い。一日がもうすぐ終わる。辺りはもう真っ暗だ。だが俺はまだまだ何でもできる。そんな気分だった。

とにかく今の俺は機嫌がいい。

当たり前だ。今日はいい事しかなかった。とにかく朝から今の今までいい事しかなかったからだ。授業、試験、学年会議での発表、先生からの評価、くじ運。でかいことから小さな事まで。いったい何なんだ今日は。もしかしたら今日が人生のピークなのか?そうなのか?あとは下るだけとか言ってくれるなよ?

とにかく俺は気分よく寄宿舎への帰路につく。

何もかもが絶好調だった。

だが、俺の幸せはそれだけじゃ完成しねぇ。

寄宿舎に着くまでに待ち切れずに俺は携帯でメールを打とうとする…が、そういえばこの学校では携帯は没収されていた。くそ、忘れてた。いつもなら細かいとこを考えちまう手紙だって今日はすらすらと文章が浮かんできた。普段なら恥ずかしいと思っちまう文だろうが俺は構わずそれを紙に書きこんだ。それが相手に届いて返事が来てやつがそれを実行してくれれば完成だ。それしかねぇ。俺のテンションはどこまでも高く、何をしようと何を考えようとらしくなくても今は自分に正直でいられた。


「……康二」


俺はついついその名を口に出して呟いていた。

寄宿舎に着いて自分の部屋の前で手紙を康二の部屋のドアの隙間に滑り込ませる。康二と俺は付き合っている。付き合い始めたのが高校入ってからで、けっこう長く続いてるとは思う。

幸せの真っただ中。

そんな中に恋人である康二がいる事は当然だ。手紙をして呼び出してそうして康二が来て俺の幸福の真ん中に康二が立って、それで完璧なハッピーエンドになる。

ふとどこからともなく音楽が聞こえてきた。俺はまだ自分の部屋の外にいる。それなのに俺の部屋の中から聞き慣れたメロディが聞えて来た。俺は部屋のドアを開けた。3歩も歩けば俺の部屋は一望できる。

康二がいた。

ドア開けたら3歩で康二だ。

まさかそこに康二がいるなんて思ってもみなかった。呼び出したのは今さっきだ。

康二は俺の制服を綺麗に畳みながら振り返った。康二が俺の姿を確認している間にその手は動きを止める。康二は俺の手紙すらまだ読んではいなかった。それなのに俺よりも先に俺の帰るべき場所へと到着していた。ああ、そういやぁ合鍵みたいなもんわたしてたんだった。ベッドの上に乗っかっている俺の服を見るにどうやら俺の洗濯物を勝手に畳んでいたらしい。

康二はこっちを振り返って「めめ、おかえり」と言った。にへらっといつもと変わらない緊張感のない顔で笑った。俺はそんな康二に大股で近付きすぐにその体を抱きしめた。

「え?うわ、なんや?」

座り込んでいた体を抱きあげてとにかく抱きしめた。ハッピーエンドへの道のりはあっという間だった。

こんなに一気にいい事が起こるなんて、俺は明日死ぬかもしれない。

俺に掻き乱されてぼさぼさになった頭をそのままに康二はびっくりしたまま固まっている。俺はそんな康二にキスをする。それによって康二の金縛りが解けた。


「めめ!あ、あのな、俺ごはん作ってあげようと思って、来てみてん……けど」


顔を真っ赤にして俺の腕の中から出ていこうともがく康二の体を俺は離さない。


「ご飯は後」

「はぁ?」


素っ頓狂な声をあげた康二を肩に担ぎあげて、俺は一歩歩いてすぐそこにあるベッドへと投げおろす。こんな風にベッドへ下ろされれば康二にもその先は予想がつく。だが俺の突然の奇行に頭が付いてきていないらしい。俺にはそんなもん関係なかった。俺の幸福の世界は完成した。手紙には明日でもいいから部屋に来いとも記したが康二にとってはそっちの方が良かったかもしれねぇ。俺の頭が冷えるのを待ってから部屋に来た方が良かったかもな。


「めめ!その、お風呂は……?」

「お風呂も後」


そのまま康二の上にのしかかる。いまだあたふたしている康二の顔を固定して口にかぶりついた。ベッドへと体を押し付けて、少しだけ口を離すと康二が俺を押しのける。なんだよ早く観念しろよ。いつもならお前の方から鬱陶しいくらいじゃれついて来る癖に。俺はとりあえず康二を腕に収めたままその言い分を聞こうとじっと待ってやった。


「……ごはんも後で、お風呂も後……じゃ、じゃあ」


どうやら今度こそ観念したようだ。

じゃあ、なんだよ。

俺は笑った。


「……俺?」



続きはnoteで作者名『木結』(雪だるまのアイコン)で検索して下さい。



『悩める受けのお話』~m×k~


友情出演~a×s~



Side康二


気づいたら朝やった。

どうやらおれはいつの間にか寝てたらしい。

隣にはめめがすやすやと安らかな寝顔をさらしてる。わりと日常的な光景や。おれとめめが裸でさえなければ。


「……やっちまったよ、おい」


思わず関西弁が標準語になる。

あ、この場合やられちまったの方が正しいんか。

いや、そうじゃなくて。おれはめめとセックスしてもうた。別に恋人的なお付き合いをしてるんでもないのに。ため息を吐く。

おれはひとまずベッドを降りた。だってこの部屋ヤバい。

においがヤバい。おれら何発出したのってくらいヤバい。

空気清浄機のスイッチを入れた。しばらくすれば臭いはとれるはずや。

ていうかおれたち、マジでやっちゃったんやなあ……ちょっと夢オチ的な展開を期待してたおれはがっくりした。夢なら夢で、自分の願望に絶望してたかもしれへんけど。

昨日穿いてたパンツが床に落ちてたので手に取る。

とりあえずこれを穿くかと思って、やめる。

おいなんかかぴかぴしてるよ……げんなりした。

全裸のまま移動して、シャワーを浴びることにする。


なんか体中がべたついてるし、ローション的なものが乾いちゃって気持ち悪いし。地味に股関節が筋肉痛や。歩きにくい。

穴になんとなく違和感があるようなないような。痛みがなくてよかった。めめのが出たり入ったりしてたわりに、頑丈なんやなおれの穴……。

それとも、めめが上手やったのか。

シャワーを浴びる。泡を洗い流しながら、このまま昨日のことも流れていけばいいのにと思って、そんなわけはないのもわかってるので気分が重い。

今日は朝から撮影があるので、めめが目を覚ます前に家を出ようそうしようそれがええ。

簡単に朝飯をつくってラップしてあっためて食えとメモを残して逃げるように家を出た。朝の光が気持ちええ。爽やかな朝や。おれの心情にはまったく似つかわしくないほど爽やかや。

撮影の間中考えてたのは教授の話してる内容やなくて、なんでめめがあんなことをしたのかということについてやった。

昨日のめめは飲み会があるとかなんとかで帰りが遅かった。

今日も阿部ちゃんとさっくんと飲むっつうのに、らしくもない。

帰って来たときのめめは珍しくベロベロに酔っ払ってて、玄関のドアを開けるのにも一苦労してた。出迎えたおれに抱きついて、キスしてきて、めちゃくちゃ酒臭かったから突き飛ばしたらすごく傷ついた顔で「康二……」なんて呼ばれたので罪悪感。

酒臭いからシャワー浴びてこいよって言ったら、一転して嬉しそうな顔しちゃって……あれって、おれが同意したようなもんなんか、もしかして。

それからの流れを考えるに、そうなんやろうな。

おれとしては、シャワー浴びて頭冷やせって言いたかったんやけど。

で、眠かったからもう寝ようと思ってベッドに行って、うつらうつらしてたらめめがきて


……。あとはまあ、うん。そんな感じで。


ローションとかゴムとかその他もろもろとか、準備してあったのはいつか出来る彼女用のやつやったんやろうか。

酔ってたわりに、妙に手際がよかった気がしなくもないけど、あんまり覚えてない。

てか、脳が思い出すのを拒絶してる感じや。

めめは酔ってたし、抵抗しようとすれば簡単にできたんやろうけど、しなかったのはあの捨てられた子犬みたいな目がちらついたせいや。いつも不敵なめめらしくもない、嫌な表情。

昔から、めめの絶望じみた表情は、嫌いで嫌いで仕方なかった。

しかしおれのファーストキスとやらも、初めてセッ〇スしたのも、相手が全部めめてのは笑い話になるやろうか。

何の自慢にもならへんけど、おれはいまだに童貞や。

今ですら過去形にもならんのがまた滑稽や。

初めてのキスはレモン味とはよく言ったもんやけど、めめはアルコール臭しかしなかった。ゲロの味やなかっただけマシか。その次は歯磨き粉の爽やかな味やった。酒クセぇっつったから、歯ァ磨いたんやろうな……律儀なやつや。

昔の大学の先輩(女)からは「康二くんって女の子イッパイ泣かせてそうだよね~(笑)釣った魚にエサはやらないタイプみたいな(笑)」なんて言われるけど、泣かせる女がそもそもおらん。

彼女いない歴=年齢で、中高歌、ダンスに明け暮れた健全なジャ〇に死角はなかった。あの頃は彼女を作って遊ぶより、体を動かすのが楽しい年頃やったんや。

大学に入ってからも、なんだかんだで彼女は作ってない。

正直男とばっかりつるんできたから、女に気を使うのがめちゃくちゃ面倒くさくて、友達止まりでも精一杯や。

午前中の撮影はそんな感じでまったく身が入らんまま終わってしまった。昼飯を食ったらロケや。ロケ先から飲み屋に直行の予定やったので、めめと顔を合わせずにすむことにホッとする。

過酷ロケのおかげで考える暇もなかった。

雰囲気も落ち着いてきた頃、スタッフさんと適当に話をしつつ、適当に時間をつぶす。

ロケが終わって居酒屋に向かう途中。

やっぱりめめのことを思い出して、少しだけ憂鬱になる。

でも一緒に住んでる以上は、どのみち帰ればめめがおるんやから、もう考えても仕方ない。

顔を合わせたときの反応は、自分の良識を信じることにして、今日はなにも考えずに飲むに限る。

ちょっとこじゃれた感じの、半個室タイプの居酒屋が今日の飲み会場やった。これは間違いなくさっくんの好みやろうなと思いつつ、先に席についてた二人の向かいに座る。テーブルを挟んで2対2の、めめの隣ってのがおれの定位置や。

そのめめは、新作映画のナンタラでちょっと遅れて来るらしい。

さっききたLINEに、先に始めていてくれて構わない、的なことが書いてあった。あいつもまあ、いろいろと大変で多忙なんやなあ。


続きはnoteで作者名『木結』(雪だるまのアイコン)で検索して下さい。

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