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最初は、ほんの気まぐれだった。
うまく盛れた自撮りを投稿して、
フォロワーがちょっとだけ増えて、
知らない誰かから「かわいいね」って言われただけ。
それだけなのに。
どうして、こうなったんだろう。
──“バズる”って、そんなに悪いこと?
⸻
私は、理想の自分を作った。
角度、加工、言葉遣い。
誰かに「好き」って言われるための、完璧な仮面。
現実の私なんて、誰も求めてない。
だから、全部切り捨てた。
痛いことも、苦しいことも、本当の顔も。
だって、“いいね”の数だけ、私は生きてる気がしたから。
⸻
フォロワーが増えて、仕事が増えて、
ステージにも立てて、名前も呼ばれて、
それでもずっと、胸の奥に穴があった。
まるで――
誰かが、私を演じているみたいだった。
⸻
「わたし、もうすぐバズります」って、何度も呟いた。
でも気づいた時には、
もうそのアカウントにログインしてたの、私じゃなかった。
⸻
画面の中で笑う“私”を見て、
ふと、スマホを伏せた。
誰か、お願い。
お願いだから──
“わたしをフォローしないで”