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「じゃあ、またね」
「ああ」
あの後、少し落ち着いた後に学校を出て、共に帰った。
俺は永目を見送り家に入る。
永目と特別な人となれた。
嬉しい、
嬉しいはずなのに、息が苦しい。
リビングには今朝よりも生臭い匂いが広がっていて息がしずらい。
少し冷静になった今、部屋の中を観察する。
リビングはとても酷くこれを俺がやったと思うにはとても見苦しいものだった。
赤い足跡、
机から垂れている血、
荷物の散らかり、
親父と母さんとの思い出なんて全て消えた。
俺はカーテンを開ける。
夕日に照らされた部屋
とても綺麗とは言えない、
それなのに、俺の目からは涙が流れる。
(夕日を見れるのも最後かな、)
俺はそう思いながら、ソファの上に置いてあるスマホを持つ。
時間は5時48分と書いてあった。
そして、電話アプリを開き110と入力する。
震える手で俺は着信ボタンを押した。
「はい、桜前警察です」
「親父を殺しました」
電話の向こうの女の人は少し黙った後喋り出す。
「お名前を教えてください」
「早見来未です」
「住所は」
「···············です」
「分かりました、すぐに警察が向かうので待っててください」
ピーンポーン
ついに警察が来たようだ。
何故か体が動かずそのままインターフォンの音を聞く。
ドンドンドン
俺はゆっくりと体を動かしながら扉を開けた。
「桜前警察署のものです。早見来未さんで合ってますね?」
「はい」
俺は扉をしっかりと開き、警察を家に誘導させる。
俺がそうすると、警察は家に入って行った。
「早見さんはこちらへ」
玄関にいる警察は俺のことを誘導する。
「はい」
俺はそれに素直に従った。
その時、俺を誘導している警察のスマホが鳴った。
警察は電話が終わると俺のことを有り得ないと言わんばかりの目で見てきた。
「早見さん、現在確認する事が出来ました」
「はい」
俺は既に知っているかのような口ぶりで言う。
「腕を出して」
「はい」
「早見来未、午後6時3分殺人罪で逮捕します」
警察はそう言いながら、俺の腕に手錠をかけた
「では、行きましょう」
警察は俺の事をパトカーへと誘導する。
「はい、入って」
「はい」
俺はパトカーの中に入ろうとした。
「早見!!!」
向かいの歩道には部屋着で息を切らしたまま俺の苗字を叫ぶ永目がいた。
「動くな!」
俺は今出る一番大きな声を出す。
「ほら、入れ!」
「絶対、来るな!」
俺は警察の声なんて聞かず、永目に向かって叫ぶ。
「なんで、!」
永目の泣き出しそうな声が聞こえる。
俺はその声が聞こえないフリをして、パトカーの中に入った。
全て夢と同じ。
何も思わない。
何も考えられない。
永目と話したい。
永目が死ななかった、
5日前、
永目が死ぬ夢を見た。
その時は永目を知らなかった。
でも、知っていくうちに好きになっていった。
そして、俺にはもったいないくらいの恋人だ。
母さん、永目を死なせなかったよ
親父、今までありがとう
俺が涙を我慢すると同時にパトカーの扉は閉められようとした。
「待ってるから!!!」
「は·····、」
「待ってるから!ずっと!ずっと!好きだから!」
永目の声が聞こえる。
大好きな声が聞こえる。
ドンッ
俺が声を出す前にパトカーの扉は閉められた。
今なら言える。
「俺も好きだよ」