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浮気と疑われたk))殴
やばい……最高… なんで毎回こんな神なんですか… 赤葦のちょっとひねくれた性格がもう最高なんですよ…(( もう、語彙力低下で何も言えません(?)
「それじゃあまたね。おやすみ。」
俺は通話が終わると通話履歴を眺めた。
1番上にあるのはついさっきまで話してた月島。
次に木兎さん、黒尾さんと続いている。
メールの履歴は圧倒的に研磨が多い。
今のところはっきりと俺に好意を寄せてくれていると分かるのはこの4人くらい。
付き合ってるのは木兎さんだけだけど、ほかの3人もただのキープとしてじゃなくて好きなんだから仕方ない。
でも、足りない…
月島は頻繁に電話してくれるけどなかなか会えないし、
黒尾さんと研磨は遠くないとはいえ他校だ。
やっぱりあの人も…俺に落ちてきて欲しい。
「相談って?」
わざわざ部活の前に呼び出したのは木兎さんに邪魔されないため。
いつも甘やかしすぎと言われるので今日は1人で部長会議に出てもらった。
「急に呼び出してすみません。…木葉さん。」
「全然大丈夫だけど、どうした?部活のこととか?」
「あ、えっと…その、木兎さんのことで…」
木葉さんは俺と木兎さんが付き合ってることも以前俺が黒尾さんを好きだと言ってたのも聞いていたはず。
「木兎か…」
「実は最近、木兎さんの束縛が激しくて…」
まったく困ってなどいないけど困ったような顔をしてそう言うと俺の言葉に木葉さんが反応を示した。
これは何か知ってるのかも。
「具体的には?」
「連絡はすぐに返さないと怒られるし、スケジュールは事細かに聞いてきます。あと、クラスの友達と仲良くしてただけで浮気を疑われたり…」
「典型的な束縛彼氏じゃねーか…てか、クラスの友達って青木?」
「そうです。木葉さんも知り合いですか?」
「いや、別に…お前、スマホにロックかけてる?かけた方がいいと思うよ、危ないから!」
あぁ、GPSのこと木兎さんから聞いたのかな。
わざとロックかけずに部室に置いといたらGPSアプリが入ってた時はびっくりした。
だって俺の思惑通りに動いてくれたから。
自分のスマホに増えたアプリには気づいてないのに可愛いことしてくれちゃって…
「分かりました、そうします。」
適当に返事をして木葉さんの出方を伺う。
「…それでお前はどうしたいの?木兎とのこと。」
「わからない…です。」
「とりあえず俺から木兎に言ってやろうか?」
「ダメです!木兎さんに嫌われちゃう…」
ここは木葉さんと木兎さんの仲が…とかのが良かったかな。
「俺、どうしたらいいんでしょう…」
「うーん…」
さすがにここで俺にしとけとはならないか。
木兎さんじゃあるまいし…
そもそも木葉さんの中じゃまだ俺は仲のいい後輩でしかない感じだろう。
「赤葦が木兎のことまだ好きならとりあえず木兎にちゃんと伝えてみたら?無意識かもだから…」
そうなんですよ。あれ無意識なんです。
俺が多少そうするように仕向けたところがあるとはいえここまでとは予想外でした。
なんて言えるわけないな。
「そうですね。一度話してみます。」
「おう。またいつでも話聞くから。」
木葉さんがかわいそうな子をほっとけないってこと俺気づいてますよ。
「ありがとうございます。聞いてもらえてちょっとスッキリしました。」
俺は悲哀に満ちた笑顔を見せた。
確かこの翌日あたりからだった。
あの噂が流れ始めたのは…
『木兎に彼女ができたらしい』
部活での実力とあの性格から木兎さん自身が校内の有名人というのもあったけど今回ここまで噂が大きくなったのはその相手が校内一の美女と称される人だったからだ。
あっという間に噂は広まり「休みの日にデートしてたのを見た人がいる」だとか「放課後の教室でキスしてたらしい」とかいう曖昧な情報の尾ひれがついていた。
休みの日なんて基本部活だし部活がない日は俺の家に入り浸りで、放課後は体育館に直行。
そんな事ないというのは俺が1番わかってる…
そうだ。だからきっと大丈夫。
とりあえずこの状況を活かしていかないと。
「また呼び出してしまってすみません。」
「いや、いいよ。いつでも聞くっつったし。」
今日もまた部活の前に木葉さんを呼んだ。
今日は部長会議もないから木兎さんが乗り込んでこないかとかは分からないけど多分大丈夫。
木兎さんからの連絡はあの噂が広まった頃からパタリと無くなった。
「木葉さんも噂、知ってると思うんですけど…どう思いますか?」
「相談ってやっぱりその事か。どうって言われてもな…」
「木葉さんから見て付き合ってると思いますか?」
「確かに話してるのは見たことあるよ。でも木兎は基本誰とでも仲良いし、特別親しい感じはなかったと思う。それに付き合ってるのはお前だろ?何も聞いてないの?」
「…連絡、なくて」
「マジか…」
木兎さんは元々俺のことが好きだった訳じゃない…
俺が誘導しなければきっとただの先輩後輩のままだった。
もしかしたら本当にもう俺に飽きてしまったのではないだろうか。
「俺、どうすればいいんですか…?なんであんなの嘘だって言いに来てくれないんですか…」
「赤葦…」
あれ…俺なんで泣いてんだろ
この噂を上手く利用して木葉さんとの距離を縮めてやろうくらいの気持ちで話してたのに。
木兎さんが愛してくれなくなったら終わり。
そう考えていたくせにいざ捨てられたかもしれないと思うと胸がくるしくなった。
自分がここまで人に執着していることに驚いた。
今だって木兎さんを利用して木葉さんとあっていたのに…自分勝手もいいとこだな。
少し冷静になってきた俺は正面にいる木葉さんに手を伸ばした。
抱きついて彼の胸を借りて泣けば俺の背中を優しく撫でてくれる。
もっと慰めてください、かわいそうな俺を。
「大丈夫だからな、赤葦。」
「木葉さん…俺もうあんな浮気者知らない、木兎さんのばぁか…!」
「誰がバカだって?」
ガチャッと部室のドアが開くのと同時に声がした。
久しぶりに聞く部活以外での木兎さんの声。
嬉しい気持ちを押し殺して0.5秒の判断で顔は木葉さんの胸に伏せたまま木兎さんに言った。
「…今更なにしに来たんですか」
「赤葦を連れ戻しに来たに決まってんじゃん。」
……To be continued