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第83話「降臨する絶望、語られる真意」
神の幹部たちがサタンの手によって葬られた、その直後――
空はなおも深い闇に包まれ、神界「アル・ソレイユ」の中心には、信じがたい沈黙が満ちていた。
立ち尽くす星の英雄たち。
アテナも、アレスも、ポセイドンも、もうどこにもいない。
あの誇り高き神々は、最期の力で加護を託し、光の残滓となって消えた。
その光の温もりを、まだ掌に感じながら――
ゲズたちは、ただ目の前の空を見つめていた。
そして、空が再び割れた。
雷鳴でも、光でもない。
それは――完全なる支配の象徴。
黒き玉座が天よりゆっくりと降りてくる。
その上には、悠然と座る男がひとり。
闇の王・サタン。
サタン「ふむ……生き残ったか、星の英雄たちよ」
冷たい声音が空気を裂き、英雄たちの心に突き刺さる。
ゲズ「サタン……!」
リオン「来たのか……ついに……!」
セレナ「兄さんたちを……殺しておいて……!」
サタンは微笑すら浮かべず、玉座から立ち上がる。
その身から放たれる闇の気は、もはや空間そのものを侵食していた。
サタン「我は、もはや神にも、悪魔にも非ず。光も闇も、この手にある。
だが、それは力を誇るためではない。お前たちのような“意味”に囚われた者を滅ぼすためだ」
ウカビル「意味……だと?」
サタン「そうだ。希望、友情、愛、正義――くだらぬ幻想。
それらが世界を歪め、争いを生み続けてきた。
我が目指すのは、完全なる秩序。支配のもとに在る平穏だ」
セレナ「そんなの……ただの独裁じゃない!」
サタン「では問おう。神々のもとに在ったこの世界に、平和はあったか?」
――沈黙。
サタン「神々は理想を語りながら、罪なき者を見殺しにし、
“選ばれた者”にしか力を与えなかった」
リオン「……確かに、俺たちは“選ばれた”。でも、それで人を守ろうとしたんだ!」
サタン「守る? ならば、なぜ神々は死んだ?
お前たちは彼らを“守れた”か?」
ゲズ「……!」
その問いに、誰もが言葉を失った。
サタンは一歩、前へと進む。
サタン「絶望せよ。哀れな英雄たちよ。
お前たちが抱いた理想は、もろく、滑稽な夢だった。
この世界は、我がもとに統一されるべきなのだ」
その言葉の刃が、心をえぐる。
だが――
ゲズ「……なら、俺たちはその夢を、もう一度、見せてやる」
リオン「サタン。お前の言葉に一理あったとしても、
全部を壊して、自分の物にするなんて、俺たちは認めない!」
セレナ「兄さんたちの想いも……神々の加護も、
ぜんぶ私たちの中に生きてる!あなたなんかに、壊させない!」
ウカビル「意味がないと、お前は言った。
だが俺たちは、意味を背負って戦う。生きるために――!」
サタン「……愚かだな。だがいい。
その愚かさもまた、この世の“滑稽”として、記してやろう」
サタンは黒の翼を広げ、玉座に戻る。
サタン「準備を整えるがいい。次に我が現れる時――
それは、お前たちの世界が終わる時だ」
そう言い残し、彼は闇に消えていった。
――その後、静寂が戻る。
だがその空気の中、星の英雄たちの瞳は、かつてないほど強く燃えていた。
ゲズ「戦うぞ。今度こそ、すべてを守るために」
リオン「ああ……サタン。次に会う時、お前を絶対に倒す!」
セレナ「神の加護を、今度は私たちが、この世界に――」
ウカビル「……届けよう」
そして、星の英雄たちは歩き出す。
破壊された神の拠点に代わる、新たな決戦の地へと――。
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