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第84話「集結する希望、宣戦の誓い」
神々が散り、世界に再び闇が差し込む。
アル・ソレイユの空は灰色に濁り、静寂がすべてを包み込んでいた。
あれから三日――
星の英雄たちは、与えられた神々の加護をもとに、それぞれの修行に没頭していた。
◇ ◇ ◇
《アル・ソレイユ 訓練場》
ゲズの背中に、月光のように柔らかな輝きが浮かぶ。
アルテミスが託した「月光の加護」は、彼の肉体と精神を鋭く研ぎ澄ませていた。
ゲズ「……無駄な動きが、少しずつ消えていく。これが、神の“目”か」
彼の視界は、もはや夜すらも見通す。
月の女神の目を継いだ者として、彼は冷静に、確実に“戦場”を見る者へと進化していた。
その一方――
《水殿》
リオンは海の波動を背に、渦を生み出すように剣を振るっていた。
ポセイドンの「怒涛の加護」は、彼の剣技に“重み”と“しなやかさ”を与えていた。
リオン「……潮の流れのように。相手を押し返し、巻き込む……これが、海の戦いか」
かつての直線的な力任せの剣は、もうそこにはない。
海のように包み込み、うねる剣が、新たなリオンの力となっていた。
《神楽の庭》
セレナは静かに瞼を閉じ、指先に旋律を宿す。
アポロンの「旋律の加護」が、彼女に“心の調律”と“攻防のリズム”を与えていた。
セレナ「聴こえる……神の音。これは、私たちを導く光……!」
音の魔法に神性が加わり、彼女の旋律は癒しと破壊を両立させる“響き”へと進化していた。
《鍛冶の間》
ウカビルは火の精霊と共に、炎を纏った剣を鍛えていた。
アレスの「戦神の加護」が、彼に“覚悟”と“激情”を植え付けていた。
ウカビル「……敵の怨念も、己の迷いも、すべて斬る剣だ……!」
戦うことを恐れていたかつての少年は、いまや燃え盛る意志を持つ戦士となっていた。
◇ ◇ ◇
そして、夜――
四人は再び集まり、サタンの元へと向かうための覚悟を語り合っていた。
ゲズ「……もう、“待つ”のは終わりにしよう。俺たちから、行くぞ」
リオン「……そうだな。向こうが神々を殺したのなら、今度は――俺たちがケリをつける番だ」
セレナ「世界の終焉を望むなら、私たちがその手を止めてみせる」
ウカビル「……サタン。次に絶望するのは、お前だ」
その瞬間、四人の魂が共鳴する。
彼らの周囲に、かつての神々の姿が幻のように浮かび上がる。
アテナ、アポロン、ポセイドン、アレス、アルテミス――
加護を託した神々は、無言で英雄たちの背を押していた。
ゲズ「サタン……この世界の運命を、俺たちが塗り替える。闇の世界で、待っていろ」
――こうして、星の英雄たちは、逆に“宣戦布告”する。
目的地は、サタンの支配する闇の世界。
そこが、世界の命運を賭けた、最後の戦場となる。