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式の合間。
ゲストたちの笑顔が広がる中、泰三がゆっくりと二人のもとへ歩み寄ってきた。
「……華」
その声に、華は少し緊張した面持ちで父を見上げた。
だが、泰三の眼差しは以前のような厳しさだけではなかった。
「立派になったな」
短い言葉。けれど、それは誰よりも重く、温かかった。
「お父様……」
華の瞳に涙が浮かぶ。
泰三は視線を律に移し、ゆっくりと頷いた。
「藤井くん、あとは頼んだぞ。あの子を泣かせるな」
「……はい。必ず幸せにします」
律の言葉に、泰三は小さく目を細めた。
その瞬間、華の胸の奥で長い間ほどけなかったわだかまりが、静かに溶けていった。