第10話:0
静寂。
再び、新宿のスクリーンが点灯する。
人々が見上げる中、映し出されたのは、
「朝倉陸」という名前と顔。
「——この世界は、嘘でできている。」
街のあちこちで、同じ映像が流れる。
テレビも、スマホも、広告看板も。
そして、画面の中の陸がゆっくり顔を上げる。
観客と、目が合うように。
「君の見ているこの瞬間も、記録の一部だ。」
「——ここにいる“あなた”も、僕が作ったZEROだ。」
世界中のモニターが同時にフリーズした。
映像が切り替わり、ただ一つの文字が浮かぶ。
「0」
次の瞬間、現実の照明が一瞬だけ消える。
そして、街に降る光。
それは爆発ではなかった。
ただの“起動”だった。
ZERO——すなわち朝倉陸——が、
世界の記録を完全に“リセット”した。
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