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『馬は、走るものだ』



そう、馬は、走ることでドラマを産み出してきた。


ー私も、普通に走りたいー


白銀の毛並みをしたとねっこはふとポツリと呟いた。左足にはギプスがぐるぐると巻かれている。それでもぐいいっと首を伸ばして、馬房から顔を覗かせていた。


『もうすぐ貴方も歩けるようになるわ、そうすれば走れるようになるのもきっとすぐよ』


その呼び掛けに、くるりとそのとねっこはふりかえった。白銀の毛並みの大柄の牝馬。とねっこの母らしい。


『母様…でも、私は勝たなきゃいけないんでしょ?だったら沢山走らなきゃ…』


そういいかけるのを、母は止めた。


『いいえ、違うわ。確かに貴方は私の希望。奇跡。やっと生きて生まれ落ちてくれた、私の天使。けれどね、勝って欲しい、走 って勝って欲しいと言うことよりも、貴方に生きていて欲しい。それだけで十分』

そういう母をとねっこは見つめ、そっか…と呟きまた外を見つめた。



足が治った頃だった。放牧地にもう一組の家族と一緒になった。

そのもう一組の家族は、どちらも黒光りするような体で子供の方はぴょこぴょこと母の周りを飛び回っていた。


『母様…』


白毛の子供は母の後ろに隠れた。しかし、黒鹿毛の子供がそれを見逃さなかった。


『ねえねえ!何て言う名前なの⁉きれいな白毛だね!』


ぐいぐいと、その黒鹿毛の子供は目を輝かせながらつめよってくる。

白毛の母はと言うと、黒鹿毛の母とお喋りしている。どうやら知り合いらしい。


『え。えっと、私は…』


その日は黒鹿毛の子供に振り回されてしまった。





けれど、その黒鹿毛の子供とはそれ(からどこでも同じだった。親離れしたときの馬房も、放牧されたところも。他の馬仲間に虐められて足を怪我をしたときも一緒にいてくれた。


一緒にいて気がついた。この黒鹿毛は悪い馬ではないと。仲間で友達だと。そして、当才馬から一才馬そして、デビューする二才馬になり、馬主も決まり、厩舎も決まり、名前も決まった。馬主は違えど厩舎は同じ。馬房も近く嬉しかった。




「ミルキースカイ」


そう厩舎の厩務員が白毛の子を呼んだ。それが自身の名前だと理解するのに時間はかからなかった。そして、あの黒鹿毛の子が『ザイムリヴネント』と言うことも、ミルキースカイは理解していた。


ある放牧の時に、ザイムリヴネントとミルキースカイで名前の話しになった。


『僕ね、ザイムリヴネントって名前になったの!皆はザイムって呼ぶけど、君は特別だからリヴって呼んでよ』


そう、ザイムはお願いされた。それを聞いたミルキースカイも同じように返した。


『私はミルキースカイだって。私のことはミルキーって呼ばれるけど…ミルって呼んでよ』


そうやって、ミルキースカイとザイムリヴネントは『ミル』『リヴ』と呼び合う仲になった。




ミルキースカイは頭がよかった。よく学び、乗り手の考えることをよく理解し、それに答えようとした。そして何より、ミルキースカイはレースをよく理解していた。長いレースの足や息の使い方、短いレースの足や息の使い方。それらを上手く使い分け、センスをみれば飛び抜けていた。


しかし、慢性的な脚部不安等もあいまって『センスはいいが期待が持てない』そんな馬だと評された。


それに比べてザイムリヴネントはとことん強い馬だった。ガッチリとした体つきに500キロ近い馬体重。スピードもスタミナも、そして何より順応するのも早く、なんに対しても適正を持つ。

『将来を期待せずには居られない馬』そんな馬だと評された。

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コメント

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へ〜これまた凄い。

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