文芸部の先輩が可愛すぎる件

4月、俺は桜山高校に入学した。

俺は明るいとは言えない性格なので、友達ができるか心配だ。波長が合う子がいればいいが…。

そうこう考えているうちに入学式が終わり、今から教室で自己紹介だ。

やばい何を言おう。引かれない自己紹介…。好きな食べ物はハンバーグとでも言っておこうか…。いやでもハンバーグは無難すぎるか…。

「では出席番号1番の人から順に自己紹介をお願いします。」

「はい。旭川遥斗《あさひかわ はると》です。よろしくお願いします。中学は野球部だったんで多分こっちでも野球部に入ると思います。よろしくお願いします。」

なんて素晴らしい自己紹介なんだ…！彼はきっとすぐにクラスに打ち解けるんだろうなぁ。俺も中学の時運動部に入っていれば自己紹介で迷うことはなかったのになぁ…。まぁ運動は苦手だけど…。

何を言うのが正解か悩んでいるうちにどんどん順番が近づいてくる。

「━━━━━━━です。よろしくお願いします。」

俺の番だ！

「田辺涼太《たなべ りょうた》です！趣味はYouTube見ることです！よろしくお願いします！」

嘘も着いてないし、引かれもしない、我ながらいい自己紹介ができたと思う。

自分の自己紹介が終わってからはあっという間ですぐにみんなの自己紹介が終わった。

「はい。じゃあ皆さんよろしくお願いします。僕は現代文を担当してます、岩崎竜也《いわさき たつや》です。わからないことがあったらいつでも聞いてください。1年間よろしくお願いします。」

若くてフッ軽そうな先生だ。良い人そうだし、上手くやっていけるだろう。 不安もあるがなんだかんだ新学期が楽しみだ。

「じゃあ資料配ってくぞー。」

学校内の地図や、お便り、重要そうな紙など色んな資料が配られた。その中で、特別目を引いたのは、部活動紹介のプリントだった。

色んな部活があるんだなぁ。なんか面白そうな部活ないかなぁ。

しかし、この学校の部活動は運動部が多かった。

文化部全然ないじゃん。書道、吹奏楽、文芸、美術、華道、茶道部かぁ…。

俺には芸術的センスがないので、書道や美術、華道部に入るのは難しい。

となると、この中で入れるものと言ったら文芸部か茶道部だなぁ。

教室は部活選びの話題が飛び交っていた。

今日から体験入部ができるのか。とりあえず文芸部行ってみようかな。

ホームルームは終わり、各自解散となった。

俺は文芸部の体験入部に行くために１階の奥にある教室に向かった。

「ひー。冷えるなぁ。」

気温が低い上に日が当たらない位置にあるためかなり冷え込む。もう少しで文芸部の教室だ。

ガラガラガラ

そこには難しそうな本が並んだ本棚と、机に横たわる1人の少女が居た。