ある休日の昼前。
🌼「お昼ご飯担当たいさん?」
🦔「不満ですか?俺のご飯は」
🌼「いや不満じゃない不満じゃない。むしろ嬉しい」
🍬「僕のお昼ご飯じゃいやってこと?」
🌼「そうは言ってないじゃん」
泰と雅。有兎家の料理担当。千流は泰がいない時、及び気分が向いた時の料理担当。雅はお弁当や朝ごはんを担当することが多く、夜ご飯や休みの日の昼ごはんは基本的に泰が担当している。ちなみに平日家にいる千流と阿英の昼ごはんは千流が作っている。
🍬「わかったわかった!泰さんと僕で料理対決しよう、ね!」
🦔「なるほどね?まぁいいでしょう、受けてたつ」
🍬「絶対かーつ」
🌼「えぇ……?俺のせい?」
🦩「対決って、どんだけ食べさせられるん……?」
🍄「今日泰さんで明日ぬこちゃんにしたらええんちゃう」
🦔「そうしよっか」
🌼「よっしゃ、明日の食費も浮く」
🦂「えぐ」
唐突に始まった料理対決。泰と雅の料理はかなり方向性が違う。例えば弁当で言えば泰はThe・弁当というような食べやすさと栄養重視のお弁当。雅は映え重視、とにかく可愛いお弁当。本当に同じキッチンで作ってるのか疑うくらい違う方向性の料理をする。
🏋️「審査基準は?」
❄️「二人以外の人で点数つけて合計点で競えばいいんじゃない?一人10点満点で」
🍬「いいだろうかかってこい」
🦔「最大90点?微妙だし俺らもお互いのに入れていいんじゃない?」
⚔️「まぁぬこちゃんは食べ物に厳しいし泰さんはそこで公正な点にちゃんとしてくれるやろ」
🍬「まるで僕は食べ物に関してじゃなかったら公正な点つけないみたいな言い方」
🍄「そうやろ」
🍬「なんやと」
またもや一言喋るだけで喧嘩しだす二人は放っておいて、泰は昼ごはんを作る準備に取り掛かる。
他の兄弟たちは宿題をしたりレポートに追われていたり仕事に追われていたりゲームしていたりとさまざまな方法で自分の時間を楽しんでいた。
――
時刻はそろそろ12時になる頃。泰がご飯を準備しているジュージューという音と共にいい香りが漂ってくる。
ほかほかのご飯の上に餡をかけて、同時に作っていたコンソメスープをよそってダイニングテーブルに運ぶ。
🦔「はい、あんかけ丼とコンソメスープ」
🧸「うわ、うまそう」
🍬「対決だからいつもより手の凝ったもの食べれるのいいな」
🐸「確かに」
🦔「俺は勝ちに行ってるからね」
🍬「はぁぁ負けないし!」
そんな小競り合いをした後、全員で席についていただきますと声をそろえる。
熱々のあんとご飯をスプーンにすくってふぅふぅと冷ました後口に入れる。程よいとろみのついたあんが口に中に広がり、白菜とそぼろの食感と冷ましたのにも関わらずまだまだ熱さの抜けないご飯に、一口で満足感に襲われる。
あんとご飯を飲み込んだ後、コンソメスープを一口飲む。コンソメの香りが鼻をくすぐり、ほかほかした気持ちになる。
🍄「うんま……」
⚔️「いや、やっぱ泰さんの作るご飯うまいわ」
🦔「でしょ。流石に負けないよ。」
🍬「うまいのは認める!!」
🏋️「素直w」
やはり雅は食べ物に関しては公正な目線で、美味しいものは美味しい、まずいものはまずいとはっきり言う。
今回の泰のご飯は美味しかったみたいで、雅の皿に盛られたご飯がどんどんと減っていく。
ペロリと全部食べ切っておかわりおかわりとキッチンの方に走って行った。
🦔「ちょっとぬこちゃん走らない!」
🍬「はい!」
そんな雅は泰に怒られて、返事と同時にぴょんっと飛び跳ねたあとてこてこと歩いてキッチンに歩いて行った。
そしてお皿いっぱいにおかわりを盛って席に戻ってくる。みんなが食べ終えてお皿を片付けている中、雅の皿に盛られたあんかけ丼がどんどん雅のお腹の中に入っていく。
🍄「どんだけ食うねん」
🦔「なんで11人なのに13人前くらい作んないと足りないんだろう……」
🦂「くいしんぼがいるからね」
🍬「んむんむ……おいひいよー」
🐸「食べながら喋んないの」
最後に食べ終えた雅が食器を片付けて泰が洗い物をし終わった後。
お昼ご飯をお腹いっぱいに食べてソファーでゆっくりしていた時、ふと希那が口を開く。
❄️「これ得点は今つけるの?」
🏋️「あぁ、確かに。十点満点で今点数つける?」
🍬「んー、僕のがうますぎて泰さんの味忘れちゃうかもだし今つける?」
🦔「なんて?なんかいった?」
🌼「泰さんってぬこちゃん相手だと攻撃的だよね」
🦔「強い子に育ってほしいからね」
🍬「うわ都合のいい理由こじつけたこの人!」
もちろん殴り合いの喧嘩までは発展しない。なぜなら泰が大人だから。基本的に雅のいうことを全部綺麗に流すので、雅も次第に泰に対して大きく反発することがなくなった。
紙に泰の料理への点数をみんなで書き込んでいく。点数の開封は明日のお楽しみにして、引き出しの中に保管しておく。
🍬「さぁてと、明日作るもの考えて下準備すーまそ!」
🦔「ずるくないこの子?」
🍬「まぁまぁ、落ち着けよ。大人じゃん?」
🦔「クソガキが……」
そんな泰の言葉に雅が下を出してベーと煽るとそのままそれぞれがやるべきことをやりに散っていった。