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― 敵側視点 ―
地下施設のさらに奥。
厚い扉の向こうで、男はモニターを見下ろしていた。
画面には、複数のカメラ映像。
だがそのほとんどが、すでにノイズに覆われている。
敵指揮官「……予想以上だな」
静かな声。
部下たちは一言も発さず、背筋を伸ばして立っていた。
敵指揮官「通信遮断、地形有利、数も揃えていた。それでも崩れないとは……“二人”で、だぞ」
部下A「MENの戦闘能力は想定内でしたが……おんりーの判断速度が異常です」
敵指揮官は口元にわずかな笑みを浮かべる。
敵指揮官「後衛が戦場を支配している。前に出る男を、完全に信じている証拠だ」
別のモニターが切り替わる。
そこには、負傷しながらも前に立つMENの姿。
敵指揮官「……普通は、負傷者が出た時点で連携が乱れる」
敵指揮官「だが、あいつらは逆だ。
片方が傷ついた瞬間、もう片方が“覚悟”を決める」
部下B「撤退を進言しますか?」
敵指揮官は首を横に振った。
敵指揮官「いや。今は退く」
部下たちがわずかにざわつく。
敵指揮官「ここで潰せなかった以上、無理に追えばこちらの損が増える。それに――」
男は画面を指でなぞる。
敵指揮官「この二人は、分断してこそ意味がある」
部下A「……分断、ですか」
敵指揮官「ああ。
背中を預ける相棒ほど、“離された時”に脆いものはない」
一瞬、男の目が細くなる。
敵指揮官「次は、通信だけじゃ足りない。選択を迫る状況を作る」
敵指揮官「どちらかが、どちらかを置いて行かねばならない局面をな」
沈黙。
敵指揮官「……それでも選ぶなら、それはそれで面白い」
男は背を向け、扉へ向かう。
敵指揮官「撤退命令を出せ。次の舞台を用意する」
扉が閉まる。
同時刻。
地下通路。
おんりーは応急処置を終え、MENの顔を見る。
おんりー「……まだ動けるか」
MEN「問題ない。多少鈍るだけだ」
おんりー「“多少”で済ませないでよ…」
MENは小さく息を吐き、壁にもたれる。
MEN「……敵、引いたな」
おんりー「うん。でも――」
おんりーは周囲を見渡し、低く言う。
おんりー「まだ、終わってない」
通信は戻らない。
敵の狙いも、まだ見えない。
だが確実に――
次は、もっと厄介になる。
二人は静かに立ち上がり、闇の奥へと進んでいった。