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〈さぁーもん視点〉

………今日、俺は校門前に凸さんに来るように言ってある。

おどろくちゃんにも部活が終わったら校門で待ち合わせって言っておいた。

…正直、まだ不安なんだ。

けど、凸さんなら大丈夫かもって、変な安心感もある。矛盾しちゃってるね。

…行こう


「さもさ〜ん!…ん?」

手を振りながら笑顔で来たおどろくちゃんは、凸さんの姿に疑問を浮かべる。

「えっと…その人は?」

「…凸森悠です。さもさんの…恋人です!」

おどろくちゃんは一瞬驚いたあと、手を握りしめて、意を決して顔を上げた。

「…ありがとうございます!話してくれて!」

…ぇ

ありがとう…?

その言葉が出てくるとは思わなくて、俺は動揺する。

でも凸さんは表情を変えずにおどろくちゃんのことを見ていた。

「…男の人同士って、否定する人もいるじゃないですか…けど!お二人は話してくれて…それって、きっと勇気がいることだと思ったんです。」

「だから…」おどろくちゃんは目に涙を浮かべた。

「…お幸せに!」

おどろくちゃんはそう言うと、涙を隠すように走り去ってしまった。

「………これで、大丈夫かな…?」

俺は隣の凸さんを見上げる。

「…まあ、とりあえず理解してもらえたからいいんじゃない?」

「…そうだね。」

凸さんは俺の手を握った。

「帰ろっか。お腹空いたでしょ?」

「…うん!」


〈ななっし〜視点〉

「…おどろくちゃん」

私は道端でしゃがみこんでいるおどろくちゃんに声をかける。

振り返ったおどろくちゃんの顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。

「ななっし〜さん…振られちゃったぁ…」

抱きついてきたおどろくちゃんの頭を、私は優しく撫でる。

…ま、こうなるよね

私はおどろくちゃんがさもさんに出会う前、ある相談を受けていた。

おどろくちゃんとは小学生からの付き合いで、入学式を終えたおどろくちゃんに声をかけると、振り返ったおどろくちゃんの顔が赤かった。

「ななっし〜さん…私、恋しちゃった…!」

「………え?」


〈おどろく視点〉

入学式寝ちゃいそうだった…校長先生の長話、恐るべし…

うう…校舎広くて迷いそう…

でも慣れなきゃ、これから3年間通うんだもん!

………あれ、私のハンカチどこ…?

どうしよう…お気に入りなのに…

私が慌てていると、後ろから肩を叩かれた。

振り返ると、鮭のパーカーを着た特徴的な人がいた。

「君、これ落としてたよ。」

にこっ笑顔を浮かべてその人は言った。

その笑顔に、優しさに、私は心を奪われた。


…二人共、幸せそうだったな…

失恋って、思ってたより辛いな…でも

私はこれからも、二人の幸せを願い続ける。

さもさんの恋の距離がおかしい

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