目黒は気にする事ないと言う。
が、阿部の元に今度は次々とプレゼントが届くようになった。
ブランド物のバッグや財布。
ネックレスや時計。
全部、警察に渡している。
最初の手紙からもう3か月になる。
相変わらずメンバーの元には手紙。
阿部にはプレゼントが届く。
気味悪い、怖い。
阿部は引っ越ししようかと本気で思っている。
目黒ーしばらく、うちにおいで。
阿部ーでも。
目黒ーそんなんじゃ、勉強どころじゃないでしょ?
阿部ーうん、勉強出来ない。
目黒ー寝室にテーブル置いてあげるから、そこで勉強しなよ。
阿部ーいいの?
目黒ーもちろん。
阿部ーありがとう。
そうして、2人は目黒の家で一緒に暮らし始めた。
一時的とはいえ阿部は嬉しかった。
目黒は、ソファにいる事が多くなった。
荷物の配達には送り主の記載が必要。
警察が調べたところ、住所は空き家、名前はでたらめと分かった。
警察も、探しようがないのだ。
渡辺のマンションの管理室に警察官が防犯カメラを見るため1日中滞在している。
警察官は、女の顔を覚えているし写真も持ってきている。
郵便配達人であろうと、ピザの配達人だろうとはっきり分かる。
目黒ー翔太くん。
渡辺ーん?
目黒ー後は翔太くんの家だけだね。
渡辺ーそうだな。
目黒ー早く来て捕まらないかな。
渡辺ー阿部はどうだ?
目黒ー何とか落ち着いてる。
渡辺ーお前がそばにいれば心強いだろうからな。
目黒ーでも、翔太くんがうちに遊びに来れなくなっちゃったね。
渡辺ーじゃあ、お前がうちに来い。
目黒ーそうだね、阿部ちゃんを1人にさせてあげる時間がいるから。
渡辺ーちゃんと了解取って来いよ?
目黒ー阿部ちゃん、ヤキモチ妬くからね。
渡辺ーそういう事。
2人は大の仲良しで、よく渡辺が目黒の家に遊びに行っていた。
今は阿部がいるから行くのを控えている。
阿部が勉強中は目黒も暇だから渡辺の家に行く事にしたが、阿部にちゃんと言っておかないと誤解する。阿部はヤキモチ妬きなのだ。
だが、この事が事態を動かすことになる。
女も、目黒と渡辺が仲良しなのは雑誌で知っている。
渡辺が目黒の家に遊びに行く事を知っている。
今、女の目の前を目黒が歩いている。
タクシーから降りたところだ。
女は渡辺のマンションのそばにいた。
この辺りだろうと、見当をつけてやって来ていた。
目黒があるマンションに入って行く。
女はニヤリと笑った。
渡辺のマンションが分かったのだ。
だが、女はこのマンションに警察官がいるとは思ってなかった。
いつものように郵便配達人の格好をしてやって来た。
渡辺の部屋の郵便受けを探していると、背後に人の気配。
警察官が立って出入り口を塞いでいた。
阿部が目黒の家に来て3週間目のことだった。
阿部に事務所から連絡が入る。
警察が女を捕まえたと。
阿部は目黒に報告する。
目黒ー良かったね。
阿部ーなんか力抜けちゃった。
目黒ーずっと緊張してたから。
阿部ーやっと家に帰れる。
目黒ーあれ?この家は居心地悪かった?
阿部ーめめの部屋だと思ったらソワソワしちゃって。
目黒ー明日帰る?
阿部ーうん。
目黒ーじゃあ、今夜は美味しいの作るね?
阿部ーお世話になりありがと。
目黒ー可愛い亮くんに「おはよう」が言えなくなるの寂しいな。
阿部ーバカ。
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