俺と人質

注意喚起は1話にあり！

読んでからきてね！

スタート！

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「リハビリきっっっっちぃ〜ｯ……」

動かない片足を引きずりながら重い体で廊下を歩く｡片足が不自由なだけでこんなにも体の自由が奪われるとは

体力の消耗がいつもの5億倍くらいある｡

例え話とかではなく本当にある。

それに松葉杖ってのも使いにくい｡投げ捨ててやろうかとも考えた

「…」

まぁそんな事したから歩けなくなるし､リオンとか

とおこさんにも怒られるしな

「うぃ〜ボスじゃん」

「お､アブラハム」

「誰だよ」

目に鴉の一員が映る､俺と目が合うと軽く微笑み軽く手を振ってくる｡

俺が彼を弄ると軽快なツッコミが飛んでくる｡

そんな彼はイブラヒム｡セバスの息子らしい｡

「どお？病院生活」

「えぐいしんどいぞ？リハビリがマジキツイ」

「とおこさん居るのにぃ？」

「だはッ…」

ボスに対する態度では無いだろうとは思いつつも､お見舞い来てくれた事だけは感謝してやる｡

後半の事はMVKで済ませてやろう｡

そんな事を考えつつ､彼を自分の病室に連れていく｡

ガラガラッ

「ふぅ〜…」

ベットに座ると全身の力が抜ける｡

ボブっという音をたててベットに寝転がる

「てかとおこさん目覚めてよかったね」

「あー…それはそうだな」

俺が居合わせた時､とおこさんは声も出せない程に弱っていた｡泣いてくれたし笑ってくれたけど､多分無理させたよな

俺がもっとちゃんとしてるボスだったらちゃんと守りきれたんだろうか｡

そもそも俺が相手に1枚とられてなかったら｡

そもそも攫われてんじゃねーぞ俺！

一応でもボスだろうが！そりゃあ部下の方が優秀かもしれねぇけどさぁ！

そんな事を考えていると自然と手が上がってくる｡くしゃりと髪を掴む｡

「…なに？心残り？」

「いや別に……まぁ…なんつーか…」

「告白？」

「ちげーよｯｯ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「声でけぇよ……」

顔が一気に熱くなる｡おかしいな､別に真夏という季節でも無い､それに真冬なんだがな｡

髪を掴んでいた手はいつのまにか頬を抑えている｡

「でも俺さっき見かけたよとおこさん」

「マジ？どこで？」

「…」

質問を問いかけただけだがなぜか呆れたような

目でこちらを見てきてため息をつかれる

記憶を辿ってみるが大して変なことは言っていない気がする

「無自覚野郎が」

「は？なにが？」

「…はぁー……」

イブラヒムが手を眉間に当てて天を仰ぐ

呆れた様子で扉に手をかけて､

『こっちに来い』と言いたげな様子でジェスチャーをされる

なにをしたいか分からないが､とりあえず松葉杖をとってそっちに行く

ガラガラッ

「え､何ガチで」

「とおこさんの場所だよ…察するだろ普通」

コツコツと音を立てながら廊下を歩いていくと

ある人物が目に入る

いつもと違う服装｡

リボンで結ばれていない髪の毛｡

大きくて引き込まれそうな赤い瞳。

車椅子に乗っている彼女はこちらに気づいたのか､手を大きく振って笑いかけてくれる｡

「葛葉さん…！」

「とおこ…さん……！」

一生懸命体を動かして彼女の隣に立つ｡

まだ完全に顔色が良くなってる訳では無いが、

雰囲気を見てる限り問題は無さそうで少し安心した｡

「葛葉さん､大丈夫でしたか？」

「いや､とおこさんの方こそ…あんな事してすみませんでした……」

「え…あんな事って……」

そう言いかけて､なにかを思い出したかのように固まってしまう｡

そしてみるみる内に顔が瞳の様に真っ赤に染まっていく｡

変なことを言ったかと思いまた記憶を巡らせる

別に発言は変なこと言ってないはず…

それじゃあなんでと思い”あんな事”の時を思い出す

「…」

俺何した？

俺は､今日もとおこさん目が覚めてないかと思いつつも､とおこさんの病室に行った

だけど､目を覚ましてた

顔覗き込んだ時､目が合ったからビックリして

松葉杖落としちまった

それで泣いちゃったんだよな､それで､その後

「っは……」

俺､とおこさんの顔､触ったよな？

かなりの近距離で

「っぁ”ー…！すみませんほんとに！！！」

「いや別にっ…！私はー…別に､ね？」

「嫌って思ってる時の声じゃないっスか？！」

俺の顔も多分今は真っ赤だろう｡

自分の犯した事の重大さに今更気づいた｡

俺はなにをしているんだ｡恋人でも無い人に｡

「なに？修羅場？」

「「ちげーよ！/違いますよ！」」

イブラヒムの声に2人で一緒に突っ込む｡

それのせいでか自分でも分かるほど顔が熱くなる｡

イブラヒムの顔も悪い顔になっている｡

「で？何したの？」

「いやこの前…変なことしちゃって…… 」

「変な事って？」

「あー…」

手を彼女の方に伸ばし､垂れている髪を耳にかけて､頬に当てる

「目覚めた時こうしちゃ……って……」

「あのっ…葛葉しゃっ……？！」

「ッスーーーー……」

「おま､葛葉…ボス……！」

「付き合ったの…？！」

「「付き合ってなーい！！！！！」」