コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「さぁ!どれから着ましょうか!」
「お母様テンション高すぎです、服も私も逃げませんから。」
2人はお風呂から上がり早速マルグリットの部屋で千春の服を選んでいた。
「だって色々着てみたくない?」
「明日着ていく服だけで良いですよー、ドレスとか着て街行かないですよね?」
「えーせっかく有るんだから一回だけ袖通してみない?ね?」
「・・・一回だけですよ?」
千春は半分諦め気味にドレスの試着を始める、試着と言っても3人の侍女が全部やってくれるので千春は立っているだけだが。
「チハル様お似合いですわ。」
侍女の1人がそう言うと他の侍女もうんうんと頭を縦に振る。
「髪が黒いと紺色が映えるわねぇ、この若草色とか赤いドレスも似合いそうよね。」
「・・・・ドレスコードが必要な時にドレスはまた選びますので取りあえず街に行く服を選びましょう。」
「そう?それじゃぁちょっと裕福な商店の娘イメージでこんなのは如何かしら?」
選んだ服は白のブラウスに紺色のアンダーバストコルセット、スカートはトパーズ色のロングスカートでふわっとした感じだ。
「良いですねコレ、普通にあっちでも着れそうです。」
「そうね、合わせてみましょうか。」
そしてまた侍女がササっと着替えさせる。
「ちょっと胸元強調し過ぎじゃないですかコレ。」
「そうでもないわよ?ちょっと良い所のお嬢さんって感じで纏まってるわよ。」
「それじゃコレで良いですね、決まりです!」
「えー!まだコレとかコレも着てみたくない!?」
「・・・・なんでそこで侍女さんたちの制服が出てくるんですか?」
「可愛いから?」
「えぇぇ・・・。」
「ね?」
「一回だけですよー。」
そして他の数着「一回だけ」が続き結局千春が選んだ服で明日はお出かけに決まった。
「おはようございますお母様。」
「おはよう、よく眠れた?」
「はい、それはもうぐっすりと眠れました。」
「ちょっと寝るの遅くなっちゃったからね。」
「・・・そうですね、でもちょっと楽しかったです。」
「フフッ私も楽しかったわ、それじゃ準備して朝食にしましょうか。」
「はい、着替えますね。」
千春は母親とこんなに服を選んだり等した事が無かったので内心は凄く楽しかった。
「チハル様こちらへ。」
侍女の1人が姿見の前に千春を連れて行き2人の侍女が服を着せる、そしてドレッサーの前に座らせ軽くメイクと髪を整える。
「今日は下にさげて纏めておきますね。」
そう言ってねじりポニーに髪留めを付けセットしていた。
「いい感じね、可愛いわ、私も一緒に行きたいのに何で用事があるのかしら。」
不満げにマルグリットはつぶやく。
「お土産買ってきますね、何か有りますか?」
「チハルが買って来てくれる物なら何でも嬉しいわ、それよりも楽しんで来なさいね。」
「はい!」
2人は微笑み合い朝食に向かう。
「おはようございます。」
食卓に着き国王陛下や兄弟達も入って来た。
「チハルは今日は街に行くんだったな、その服も似合っておるな。」
「ありがとう御座います、お母様と選びました。」
「・・・うむ、まぁなんだ、楽しんでくると良い。」
国王陛下は多分、いや絶対に着せ替え人形にされただろうなと思ったが口には出さない、
そして朝食も終わりエンハルトが千春を連れて外に向かう。
「一度チハルの部屋に行ってサフィーナと合流してから馬車で街に向かう。」
「馬車?歩きじゃないの?」
「王城を歩きで出入りする王族なんて居ないぞ?」
「へー、なんで?」
「知らん、そう言う事になってる。」
「ふーん。」
2人は門の部屋に着きサフィーナと合流する。
「サフィーおっはよー!」
「おはようございます、殿下、チハル。」
「あぁおはよう、サフィーナ、チハル、街では俺の事はハルトと呼ぶように、知ってる奴が見たらすぐ分かるが、一応な。」
「わかったよーハルト。」
「それでは私はサフィーでお願いしますね。」
「分った。」
そう言って部屋を出る、千春は出る前にスマホをチェックしていた。
(よーし、ヨリのLIMEはスタンプで誤魔化してっと。)
3人は表に出ると、馬車に乗り込み街に向かう。
「街までどれくらいなの?」
「そうだな10分も有れば城門まで着く、そこからは直ぐだがしばらくは貴族の住むエリアで何もない、20分も走れば貴族向けの店が並んでるが、チハルが見たいのは市井の方だろう?」
「うん、普通の所が良いね。」
「商店が並ぶ所まで馬車で行くと面倒なのでエルドール子爵家に停めてから歩きましょうか。」
「あぁあそこならそんなに掛からないな。」
「エルドール子爵ってモリアンの所?」
「そうです、貴族向けの店が並ぶ所にも近いんですよ。」
「へぇ、で?モリアンは今日なにしてんの?」
「家に居ると思いますよ、今日の予定は聞いてませんけど。」
馬車はエルドール子爵家に到着する。
「ん?モリアンが居るよ?」
「あら、本当だわ・・・あの格好一緒に行くつもりかしら?」
「今日馬車をココに停めるって言ったのか?」
「いいえ?さっき思いつきましたもの言ってませんよ?」
エンハルトもサフィーナも何故モリアンが準備して待っているのか不思議そうに見る。
「エルドール家へようこそ!」
「モリアンなにしてんの?」
「待ってました。」
「なんで来るってしってたの?」
「街に馬車で行ったら目立ちますし、馬車を置いていくならココってサフィーナさんなら言いそうだなと思いまして。」
モリアンと千春がそう話してる間に家から壮年の男性が出てきた。
「エンハルト殿下!ようこそいらっしゃいました、そちらの方がチハル王女殿下で御座いますか!」
「あ、はい、初めまして千春と申します。」
「すまん、馬車を置かせてもらおうと寄ったのだが、迷惑を掛ける。」
「いえいえ!いくらでもお使いください、馬車の方はこちらで預からせていただきますので!」
コレでもかと言うくらいの低姿勢で挨拶をしてくる。
「申し遅れました、エルドール子爵家当主ハーレック・エルドールで御座います以後お見知りおきを。」
そう言って首を垂れる。
「さ、それじゃ街にいきましょー!」
「こら!モリアン!殿下と王女殿下に何という口を!!!」
ハーレックは顔を真っ青にしてモリアンを叱る。
「あー今日は・・と言うかモリアンはコレで大丈夫だ、公の場では粗相をしないから安心していいぞハーレック卿。」
「そ・・・そうで御座いますか。」
「あぁ、モリアン今日は俺の事はハルト、サフィーナはサフィ、チハルは・・・そのままだな、そう呼ぶように。」
「はい!それじゃ私はモリーでお願いしますね!」
「はいはい、もりーもりー、さぁ街にいきましょかー。」
エンハルトがモリアンに皆の呼び方を説明したが千春はめんどくさそうに早く行こうと促す。
「まずは市井の商店が並ぶ通りに向かおう、あと今日は護衛が付かず離れず数人居るからな、何事も無いだろうが、もし何かあれば大声を出せすぐに駆け付ける。」
「「はーい。」」
「了解しました。」
1人は丁重に、2人はスキップしながら返事をする。
「サフィーはあれに混じらないのか?」
「うそでしょ?無理に決まってるじゃないですか、殿・・・ハルトが混じっても良いんですよ?」
「やめてくれ、国に居れなくなる。」
先行してスキップしながら進む2人をエンハルトとサフィーナは無表情で見ていた。
「ふぁー!すっごーい!」
貴族エリアも凄いと思ったが市井の所に有る門をくぐる所で街並みが見えた、中世のヨーロッパのようなオレンジや茶色の屋根、大通りには人が沢山居た。
「ようこそジブラロール王国の街へ!」
モリアンが満面の笑みで千春に言う。
「はぁぁ!すごいねー、色んな人が居るね。」
「あぁ他国から来る商人も居れば異種族も生活している。」
「異種族ってもしかしてエルフとかドワーフとか?」
「あぁよく知ってるな、あとは獣人族も居るな。」
「マジで?!ケモミミいるの?」
「歩いてればそのうち目にする、さぁ行こうか。」
そう言ってエンハルトは千春に声を掛ける。
「さぁチハル行きましょう。」
サフィーナは千春の手を取り歩き出す、モリアンはエンハルトよりも前を歩いている。
「チハルは何が見たいんだ?」
「全部!全部見たい!」
「全部は無理でしょうに・・・とりあえず大通りの商店を見て回りましょう。」
千春のジブラロール王国城下町の探検が始まった。