テラーノベル
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今、俺の目の前で本棚の埃をとっているメイド服がやけに似合う伏目がちの美青年、エドマンド・ハリントン=スミス(元貴族)にはどうしても許せないことがある。
彼に残された唯一のプライド、と言ってもいいだろう。
「スミス。そこにある本とって」
彼はジロリと俺を見た後、またパタパタとはたきを動かし始めた。
そう、無視だ。メイドが主人の命令を聞かないのは(この先は省略させていただきます。書き込み ハリントン)
では逆に。
「ハリントン、そこにある本とって」
「承知しました。こちらの本でございますね」
素早く俺の元に本を届けてくれるハリントン氏。これで分かっただろう。この美人な使用人はスミスという名で呼ばれることを極端に嫌う。
一度彼に聞いたことがある。帰ってきた返事はあまりにもあっさりとしたものだった。
ありきたりすぎます、と。
まぁ確かに貴族っぽくはない。日本で言う佐藤のような立ち位置だ。
ハリントンが貴族としての最後のプライドなら彼が守りたくなるのも仕方ないのだろうか。
そんな考えを消すように、俺は本へと目線を移した。
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