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檻のなかのアイドル

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檻のなかのアイドル

30 - episode30-本当の居場所-

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2025年09月08日

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翌朝。

いるまの部屋の窓から射す光が、眠りかけのらんの頬を照らしていた。

昨夜は悪夢にうなされて、結局いるまの手を握ったまま眠ってしまったのだ。


🎼🌸「……あ」


目を覚ますと、すぐ隣のベッドでいるまが眠っている。

大きな背中、乱れた髪。

その寝顔を見ていると、胸がじんと温かくなる。


🎼🌸(……守ってもらうだけじゃなくて、俺も――)


考え込んでいると、不意に目が合った。

いつの間にか起きていたいるまが、寝ぼけ声でつぶやく。


🎼📢「……じっと見るな。起きにくいだろ」


🎼🌸「っ、ご、ごめん……!」


慌てて顔をそらすらん。

だが、いるまは口元をわずかに緩めた。


🎼📢「……でも、悪くねぇ」


🎼🌸「え?」


🎼📢「お前に見られてるなら、別にイヤじゃねぇってこと」


照れ隠しのように背を向けるいるま。

その一言が、らんの胸にまっすぐ届いた。


🎼🌸「……いるま。俺、がんばりたい」


🎼📢「は?」


🎼🌸「いるまに守られるだけじゃなくて……隣で、一緒に立ちたい。

俺、まだ弱いけど……もっと強くなるから」


言葉にするのは怖かった。

でも、それが“自分の願い”だと気づいてしまったから。


しばらく沈黙のあと、いるまは深いため息をついた。


🎼📢「……バカ。そんなの最初から知ってたよ」


🎼🌸「え……」


🎼📢「お前が勝手に俺に守られてるだけだと思ってんの、気に食わなかった。

俺は――お前が隣にいるの、普通に嬉しいから」


そう言って、いるまは乱暴にらんの頭をくしゃりとかき混ぜた。

らんは驚きながらも、こぼれるように笑った。


🎼🌸「……ありがとう、いるま」


その笑顔は、昨日よりも少しだけ強く見えた。


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