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虚勢を張る彼の胸板に、そっと掌を這わせる。トク、トク、トク――。早鐘を打つ心臓の音が掌から伝わってくる。鎖骨をひとなぞりしただけで、無防備に身体を震わせた。
「……息が荒いですわよ、殿下。そんなに私に触れられるのが、刺激的なのかしら?」
私は彼の首筋に唇を寄せた。密着した体からは、彼がすでに「準備」を終えていることが隠しようもなく伝わってくる。
「義務とおっしゃるなら、もっと楽しまなければ損ですわ」
「おま、え……っ、くそっ……!」
私は彼を組み敷いたまま、自分のネグリジェの肩紐を指で滑らせた。ハラリと薄い布が落ち、私の肌が月明かりの下で露わになる。カイル殿下は息を呑み、逃げ場のない視線を彷徨わせた。
瞳が、恐怖と、それを上回る期待に揺れている。
(顔だけは本当に極上なのよね、この男)
これから逃走資金が貯まるまで、セフレとして楽しむくらい、バチは当たらないわ。
「先程から、私の胸ばかり見ておられますね?」
「き、気になってなどいない!」
私は動揺する彼の手を掴み、自分の柔らかな膨らみへと導いた。肌に直接押し当てられた彼の手は、驚くほど汗ばんでいた。
「あら、素直に触りたいとおっしゃれば、いくらでもお望み通りにして差し上げるのに。殿下は、どういうのがお好みかしら?」
「っ……! あ、貴様……っ」
彼は顔を背けながらも、私の誘導に抗えず、恐る恐る指を曲げた。ぎこちない手つきでその感触を確かめるように、たどたどしく揉みしだいてくる。
(……ふふ、やっぱり。確信したわ)
あまりにも初心な反応。冷徹な仮面の下に隠されていたのは、女性の体に触れることすら初めての、純粋培養の童貞。
《……なんだ、この柔らかさは。指が沈んで、離したくない。……くそ、俺の指が、勝手に動いて……っ!》
私はる彼の手の上に、自分の手をそっと重ねた。
「こうして優しくなでるのと、それとも……」
彼の手のひらにぐっと力を込め、自分を強く揉みしだくように彼の手を動かす。
「ギュッと、鷲掴みにするのなら。どちらがお気に召しますか?」
「…………っ!」
「なんなら、私が腰を揺らしている最中に、少々乱暴に扱いたいということでしょうか?」
カイル殿下は絶句し、顔を真っ赤にして固まった。その反応だけで、答えは十分。
「ふふ、なるほど。お顔に似合わず、ずいぶんと『えっち』なことがお好きなようですわね♡」
私は彼の耳朶を軽く噛み、吐息を吹きかけた。