コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第25章:暴走、雷の継承者
ヴァレムの一撃に吹き飛ばされたゲズ。
その体が、眩い雷光に包まれた。
叫びのような風が吹き荒れる。
空が割れ、地が震える。
その中心で、ゲズの瞳が金色に輝き、理性を失っていく。
セレナ「ゲズ……!? それって……!」
ヴァレムが静かに構え直す。
ヴァレム「雷の力、解放段階・第二相――暴走状態。
予測不能。排除開始」
⸻
【1. 壊れゆく意思】
ゲズの体はもはや彼のものではない。
雷が意思を持ったかのように、すべてを薙ぎ払っていく。
ヴァレムが放つ虚無の槍すら、一撃で吹き飛ばされる。
ゲズ「オマエ……オマエ……全部……ッッ!!」
その叫びは、怒りと哀しみ、そして“恐れ”に満ちていた。
彼自身が、もう自分を止められないことを知っている――
⸻
【2. セレナの想い】
セレナは、ゲズの雷撃が迫る中で一歩も引かず、叫ぶ。
セレナ「やめてゲズ!! こんなの……あなたじゃない!!」
ゲズ「オレは……強くならなきゃ……皆を……守れないから……!」
彼の雷は空へと駆け上がり、地平線にまで閃光が走る。
それでもセレナは、そっと手を伸ばした。
セレナ「私は知ってる……
あなたがどれだけ、優しくて、誰かを守りたいって思ってるか――
その心が、本当の“雷”なのよ!!」
雷が、静まり始める。
セレナの声が、彼の心へと届いていく。
⸻
【3. “鎖”を断ち切る声】
ゲズの足元に、雷が網のように広がる。
その中心に、セレナが自ら踏み込む。
セレナ「私がここにいる。
何度でも言う――あなたは、ひとりじゃない」
その瞬間、雷光が一気に収束し、
ゲズの体から**黒い稲妻のような“呪い”**が弾け飛んだ。
彼の体が崩れ落ち、膝をつく。
ゲズ「……セレナ……俺……」
セレナ「大丈夫。戻ってこれたね、ゲズ」
彼女はそっと彼の背中に手を添えた。
⸻
【4. ヴァレムの退却】
周囲の大気が静まり返った時、ヴァレムは感情のない声で呟いた。
ヴァレム「暴走制御成功……覚醒者、次段階へ移行予定。
今は撤退と判断」
虚無の力が彼を包み込み、闇のゲートへと消えていった。
ゲズはまだ地に伏したまま、空を見上げていた。
ゲズ「……俺、また……誰かを傷つけそうになった」
セレナ「違うよ。
私はあなたを止めたんじゃない。
あなた自身が、私の声を“選んで”戻ってきてくれたの」
その言葉に、ゲズは初めて安堵の表情を見せた。