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第26章:封印された扉と、神の記憶
ヴァレムとの激闘、そしてゲズの暴走を経て――
火の遺跡は静まり返っていた。
炎の騎士が消えた後に現れた、地下へ続く階段。
その奥には、まだ誰にも見つけられていない「神の部屋」があった。
⸻
【1. 地下回廊と封印の間】
足を踏み入れた瞬間、空気が変わる。
熱は一転して冷たく、静寂が音となって響くような空間。
セレナ「……何かが……この奥に“眠っている”……」
ゲズも無言で頷く。
先ほどまでの暴走の反動で、彼はまだ体に痛みを抱えていたが、足は止めなかった。
奥の扉には文字が刻まれていた。
その言語は、セレナにも読めない。
セレナ「これは……星が生まれるよりも前の文字。誰も解読できないはずのもの……」
しかし――
ゲズの手が、扉に触れた瞬間、雷の紋様が浮かび上がる。
扉が静かに開いた。
⸻
【2. 記録の空間】
中には、何千年も前に作られたと思しき円形の部屋。
中央には、光でできた立方体が浮かんでいた。
セレナ「これは……“神の記録”……!」
ゲズが近づくと、立方体が回転を始める。
そして、光が広がり、空間全体に“映像”が投影された。
そこには、地球とは異なる惑星の景色。
星々が誕生し、やがて“ヒト”が作られていく様子が描かれていた。
ナレーションのような声(記録)「――光は秩序を与え、命を形にした。
だが闇は、自由を求め、神に牙を剥いた。
そして生まれたのが、“三王”である」
セレナは息をのむ。
セレナ「三王……?」
ゲズ「三……?」
その時、映像が切り替わり、“雷”を纏った存在が登場する。
声「雷を継ぐ者、火を越えし意志。
汝、いつか“扉”の先へ至るだろう。
だがその前に、試練は繰り返される」
⸻
【3. 光の記憶の断片】
最後に現れたのは、巨大な光の翼を持つ、人物らしきシルエット。
顔は見えない。
しかし、その佇まいは――“神”そのものだった。
声「雷の継承者よ。
世界が終わる時、汝の選択が“次の宇宙”を決める」
光が収束し、記録装置は静かに眠った。
ゲズとセレナは、しばらく無言だった。
ゲズ「……これが、“俺たちの始まり”ってことか?」
セレナ「ううん……これはまだ“入口”よ。
本当の“始まり”は、きっと――これから来る」
⸻
【4. 決意と次の一歩】
ゲズは拳を握りしめる。
ゲズ「ルシフェル……
こいつを倒さなきゃ、本当のことも、未来も見えない気がするんだ」
セレナ「私も行くわ。あなたと一緒に。
どんな未来でも、あなたの隣にいたいから」
その言葉に、ゲズはふと微笑む。
ゲズ「……ありがとう、セレナ」
そしてふたりは、光の記憶の残響を背に、遺跡を後にする。