テラーノベル
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その日は、いつもより仕事が多かった。
「……」
日本はパソコンの画面を見つめていた。
時計は **午前2時14分**。
周りのオフィスは当然、真っ暗だ。
(もう少し……)
キーボードを打つ手が少し震える。
「……はぁ」
軽く息を吐いた瞬間。
視界がぐらっと揺れた。
(あれ……?)
立ち上がろうとした。
しかし。
「……っ」
膝から力が抜ける。
床が近づく。
そのまま。
――日本は倒れた。
「遅い」
ビルの外で、ソ連は苛立っていた。
ウォッカの瓶を片手に腕を組んでいる。
「今日はもう1時過ぎてる」
いつもなら、日本は0時前には出てくる。
今日は異常だった。
「……」
イライラ。
「……クソ」
ソ連はビルの中へ入った。
警備員が声をかけようとしたが、身長192cmの威圧に黙った。
エレベーター。
チーン。
日本のオフィスの階。
廊下は真っ暗。
「日本」
ドアを開ける。
静か。
パソコンの光だけ。
そして。
床に倒れている小さな影。
「……は?」
ソ連の思考が一瞬止まった。
「……日本?」
近づく。
動かない。
「おい」
肩を揺らす。
「日本」
反応がない。
その瞬間。
ソ連の顔から血の気が引いた。
「……おい」
声が低くなる。
「起きろ」
日本の頬を軽く叩く。
「日本」
「……ん」
小さく声が漏れた。
ソ連の目が見開く。
「……ソ連さん」
かすれた声。
「……仕事……終わってません……」
ソ連は数秒黙った。
そして。
「バカかお前は」
日本を抱き上げた。
「え」
「帰る」
「で、でも」
「黙れ」
完全にキレていた。
ベッドに日本を寝かせる。
日本の顔は赤い。
額に手を当てる。
「……熱」
ソ連の眉が深く寄る。
「いつからだ」
「少し……前から……」
「どれくらい」
「三日ほど……」
沈黙。
そして。
「日本」
声が低い。
「死にたいのか」
「いえ」
「ならなんで働く」
「仕事ですので……」
その瞬間。
ソ連がベッドに手をついた。
ドン。
日本の顔のすぐ横。
「仕事より」
低い声。
「俺より」
「……」
「大事なのか」
日本は少し困った顔をした。
「そんなことはありません」
「なら」
ソ連は日本の頬を掴む。
「倒れるまで働くな」
珍しく。
本気で怒っていた。
日本は小さく笑った。
「心配してくださっているのですか」
「当たり前だろ」
即答だった。
しばらくして。
ソ連はキッチンに立っていた。
「……」
鍋。
スープ。
ウォッカは横に置いてある。
「日本」
部屋に戻る。
日本はぼんやり起きていた。
「これ飲め」
「ありがとうございます」
日本はゆっくりスープを飲む。
温かい。
「……美味しいです」
ソ連はそっぽ向いた。
「適当」
「優しいですね」
「違う」
「そうですか?」
沈黙。
日本が少し笑う。
「ソ連さん」
「ん」
「ずっとそばにいてくださったんですね」
「……」
ソ連は答えない。
でも。
日本の手を握る。
ぎゅっと。
「……当たり前」
小さく言った。
「日本が倒れたら」
「うん」
「俺が困る」
「そうですか?」
「そうだ」
日本は少し考えてから言った。
「では」
「?」
「もっと倒れないようにします」
ソ連の眉が上がる。
「最初からそうしろ」
日本は小さく笑う。
「でも」
「?」
「ソ連さんが看病してくださるなら」
「倒れてもいい気がします」
沈黙。
3秒。
ソ連は顔を覆った。
「……やめろ」
「?」
「そういうこと言うな」
「なぜです?」
「甘やかす」
日本は首をかしげる。
ソ連はため息をついた。
そして。
日本の額に手を当てる。
「……まだ熱い」
「すみません」
「謝るな」
ソ連は日本の髪を撫でる。
優しく。
「寝ろ」
「はい」
日本は目を閉じた。
数秒後。
小さな声。
「……ソ連さん」
「ん」
「手」
「?」
「離さないでください」
沈黙。
そして。
「……離さない」
ソ連は日本の手を握ったまま、ベッドの横に座った。
そのまま。
朝までずっと。
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