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#東リべ夢小説
ハゲユーザー
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第4話「月光の狙撃手 崩壊のアッチェル」
──天界・天使村
地の花々が散り、
空は灰色の雲に覆われ、夕日を隠す。
仮面の刺客は弓を構えた。
「外来神、混沌をつかさどる存在め……
貴方を“始末”する!」
名もなき神は少女を背に庇い、静かに言った。
「混沌……宇宙のことか。誤解だよ、俺はただの旅人だ。
とある“事故”がきっかけで、この地球の天界ってところに落ちてきただけです」
だが、仮面の刺客は聞き耳を持たない。
「悪いやつは皆、最初は“善のふり”をする。
そしてなにより、“ゼウス”様から貴方への始末令が出ている。
貴方が何と言おうと“悪”ということに変わりはないですよ」
名もなき神はゼウスを知らない。
だが当然、聞ける空気ではないので黙っていた。
「そんな……!名無し君、逃げて。
優しい名無し君が殺されるなんて“理不尽”だから」
少女の声は震えていた。
でも、その瞳は強かった。
「大丈夫ですよ。貴方にも始末令が出てるんですから」
少女の顔が悲しみから絶望に落ちる。
「なんで……どうして?」
刺客は少女の心なんてどうでもいいように淡々と答えた。
「ゼウス様は常に外来神を“監視”しています。
そうしていたら、貴方は外来神と仲がいいことが分かりました。
つまり“グル”ということです。簡単な話でしょう?」
その瞬間、少女は言葉を失った。
その姿を見た名もなき神までうつむいた。
「ごめん、ライトちゃん。俺らここで終わりみたい……」
少女は言葉を返してくれなかった。
「……」
「恨むなら俺を恨んでくれ。
俺が“心を抱いてしまった”ばっかりに……」
名もなき神は頭を下げた。
すると、少女は頭を優しく撫でてくれた。
「頭、上げてよ。私でも届いちゃうよ」
予想外の返事だった。
「……恨まないのか?」
少女は首を振った。
「ううん、名無し君はただの“冤罪”でしょ?何も悪くないよ」
少女は自分の胸を涙と共に掴んだ。
「あの仮面さんも使命でしょ?
ゼウスおじいちゃんもきっと“天界を守りたい”という想いだから、誰一人悪くないんだ。
私の“運”が尽きただけでね」
その言葉が名もなき神の脳を水のように流れ、
そして“心臓に火”をつけた。
抑えきれないこの感情。
怒りでも情熱でもない。
“愛”……でもないかもしれないが、愛だと感じる。
先ほどまで雲に隠されていた日が、斜めに名もなき神の顔を照らす。
「バーカ!」
名もなき神は思わず吹っ切れた。
「?」
「ライトちゃん、優しいのはいいけど“自分を大切にしないと”ダメだ」
「ご、ごめん……良かれと思って」
名もなき神の声は元の優しい声に戻っていた。
「いいんだよ、責めてない。
俺はただ、“君を守りたかった”だけ。それ以上も、それ以下もない」
刺客はイライラしながら、足を強く踏み鳴らして待っていた。
「……遺言は終わったか?」
「ありがとう……でも、もう少しだけ待ってくれ」
刺客は弓を降ろし、怒鳴ることはなかった。
「良い。後悔だけはしてはいけません」
名もなき神は刺客に一瞬だけ微笑み、再び少女の方を向いた。
「ライトちゃん、君の“願い”ぶつけてくれ」
「急に言われても分かんないよ!」
名もなき神は「だろうな」というようにそのまま立っていた。
少女は決意した。
「名無し君!私の願いは“ずっと平和で過ごしたい”。
これでどう?」
名もなき神の脳がついに“ビッグバン”を起こした。
めまいと心臓の鼓動が魂を蝕む。
(この感覚来たぁぁぁぁ!)
ライトちゃんに会った時の“全能”を感じた心臓が再び目を開ける。
「純粋で優しい願いだ……」
腰に手を当てた。
刺客が違和感を覚えた。
「何をしているのですか?」
「そんな願いを……」
すると、腰から鞘が二つ出てきた。
花びらが鞘の周りに舞いつく。
追い風が加速し、地が振動し、手のひらは熱を帯び、草むらの一滴のしずくが落ちた。
「叶える!それが神の真の役目だ!」
その叫びと共に、二本の刃──“双剣”を抜刀した。
左手には青と緑色の綺麗な剣。
右手には少しボロついた銅の剣。
その姿を、刺客は静かに眺めていた。
「美しき剣。祝福してあげましょう」
刺客は力いっぱい拍手をした。
「……もう、頭が追いつかないよ」
少女もその剣を見た瞬間、笑顔を取り戻した。
散々拍手をした後、刺客は我に返った。
「で、その剣でどうするのですか」
即答した。
「そのゼウスとやらの神に勝って、あやまちを止める」
その瞬間──刺客の肩がビクリと震えた。
「……ゼウスに……勝つ……?正気ですか……」
刺客は少し考え、再び弓を構えた。
さっきより殺意が高い。
「ゼウス様に、指一本すら触れさせません……!」
「おっ!奇遇だな」
「奇遇?」
「俺も、ライトちゃんには指一本も触れさせないぞ」
刺客はため息をついた。
セリフの構造をパクられるとなんか呆れる。
「ゼウス様に逆らうと“天罰”が下りますよ」
「……天罰?なんだよ、それ……」
「ハァ、天罰すらも知ら……」
「違う!」
名もなき神は、過去一“まっすぐな目”で睨みつけた。
「お前らは愛すらも知らんのか!
本当に天罰が下るのはお前らだ。ゼウス野郎も含めて」
刺客もついに我慢の限界が来た。本気で弦を引く。
「外来神、私が誰だか分かっているのですか……」
刺客は仮面を空へ放り投げた。
「私は狙撃の名手と呼ばれし“アルテミス”だ」
空気が爆ぜ、追い風が裏切る。
少女はその言葉を聞いて驚く。
「アルテミス様!?」
だが、名もなき神だけは冷静だった。
「ふーん、アルテミスか何だか知らないけど“成敗”する」
アルテミスは弦を引っ張った。
「やる気ですか。まずは“己の存在”から消えてもらいましょう」
「そんなことしたら……
名無し君が……いや、天使村が消えちゃう!」
後ろの一本の大樹が震え上げる。
その言葉を聞いたアルテミスは一句読んだ。
「我が弓矢 本気で射てば 土地改変」
そして目をつむる。
「しっかり昇れ──“片道貫矢天”!」
アルテミスは、魂を込め悲しみに触れながらも矢を放った。
天使村全体が光を失い、虚無のような暗い……暗い空間。
矢は光速を超え、まさに量子。
地面がえぐれ、ダイヤすら砕け散る。
これで終わったんだ。何もかも……。
ただ、アルテミスの視覚は真っ暗だった。
「なぜ、私は何も見えない……いや、地面を見ている……
でもなぜ地面がある。天使村ごと滅びたはず……」
上から声がした。
「俺の勝ちだ」
アルテミスは理解したくないことを、その声で知った。
顔を上げると、そこには名もなき神がいた。
その声だけで、アルテミスの心臓が跳ねた。
顔を上げる。
そこには──
矢だと思われる欠片が大量に散らばっていた。
「バ、バカな!まさか斬ったとでもいうのか?」
「説明してやんよ」
──数秒前のことだ。
「しっかり昇れ──“片道貫矢天”!」
お前はそう叫んで撃ってきたよな。
あの矢は速かった。“常神”なら確実に貫けたはずだ。
(落ち着け……深呼吸……)
俺は試したんだ。“超集中(ゾーン)”ってやつを。
でも、なかなか入れなかった。
矢はもう、俺の腹に届く距離まで迫ってた。
正直、怖かった。
──そして。
あと数センチのところで、矢が“止まって見えた”。
ゾーンに入ったんだ。
入ってしまえば対処は簡単だった。
右手の“銅の剣”で、そのまま──木っ端微塵にした。
しまいに、お前が気づいてないうちに接近して、腕をつかんで地面に倒して抑えつけた……ってわけだ。
名もなき神の言葉が終わった瞬間、アルテミスの瞳が乾いた。
「……っ」
呼吸が乱れる。胸が痛い。視界が揺れる。
「切り札が……あんな……簡単に……」
自分の声が、自分のものじゃない。震えて、かすれて、弱い。
「信じない……信じきれない……そんな……はずが……」
アルテミスは地面に手をついた。
「アア……アアア……アア」
もう、声を出すのも困難。
「……嘘、名無し君が勝った……?」
名もなき神はアルテミスに手を差し伸べる。
「許すよ。もう俺達に構わないなら」
その声は優しかった。
けれど──アルテミスには、それが“挑発”にしか聞こえなかった。
「……るせぇ……誰が……お前みたいな悪の手なんか……取るかよ……!」
アルテミスは震える脚で無理やり立ち上がった。
足元はふらつき、呼吸は乱れ、視界は滲む。
名もなき神は焦ったように言う。
「もう諦めろよ……これ以上やったら、お前の命が危うい。
ゼウス野郎が悲しむぞ」
その言葉に、アルテミスの肩がビクリと震えた。
「まだ……本気……出してない……」
名もなき神は眉をひそめた。
「お前……なんだよその涙……?」
アルテミスの額を伝う液体──
それは透明ではなかった。
赤い涙。
5話「赤い涙 コンク・リスタート」に続く
コメント
3件
めっちゃ熱い展開でしたね…!「俺は“心を抱いてしまった”ばっかりに」からの双剣抜刀、ゾーンで矢を木っ端微塵にする流れがかっこよすぎる。それでいて「バーカ」ってライトちゃんを叱るところも優しさ全開で、もう推せます。最後の赤い涙も気になる…次話も絶対読みます!