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プロローグ
ふと、窓の外を眺める。連日の降り続く雨で、なんだかみんなの生気がないような気がする。黒や青の色とりどりの傘を差して足早に歩く。中には歩きスマホをしている人もいる。でも、みんなは何があっても水たまりを踏まない。すごいな、と感心してしまう…。
…何やってんだ俺。外を眺めてる時間なんかないんだった。今日の夕方までにプレゼンの資料を作らなきゃいけないんだ。そのために昼休憩の時間、わざわざ会社を抜け出して近くの喫茶店まで来たのに。現実が行き詰まっている時ほど他のことをしたくなる。現実逃避ってやつか。
俺はため息を吐きながら、鞄の中からノートパソコンを出してテーブルに広げる。でも、ちょっとその前にコーヒーでも一杯頼もうかな。なんかそっちの方が雰囲気出るよな。
「すみません」俺は前を通り過ぎようとする店員を呼び止める。そして、メニュー表を広げた。「えーと、このコーヒーください。」俺は適当なコーヒーに目をつけ、注文しようとした。「サイズはどういたしますか?」店員が聞き返した。やばい。サイズとかあるのか。調子に乗って喫茶店とか来るだ。「あの、サイズは何があるんですか?」少し恥ずかしいが仕方がないので店員に聞いた。
「こちらのコーヒーですと、ショート、スモール、それからグランデがございます。」予想に反して、店員はさっきと変わらない優しい口調で教えてくれた。でも、変な横文字で言われたって何が何だかわかんねえよ。「どれが一番大きいんですか?」俺はもう割り切った。もう羞恥心とかどうでもいい。聞くしかない。「この中だとグランデが一番大きいですね笑」今度は流石に笑われた。「あっ… じゃあ そのグランド?でお願いします。」恥ずかしいので早く注文を済まそう。「グランデですね。かしこまりました笑」また笑われた。俺は横文字が絶望的に分かんないんだよ。だからプレゼンの資料作りも捗らないし……。 あー。なんて言うか… もう帰りてえ……。