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※本書を読む前に、1つ前の「月影隊」を読む事をおすすめします。
今日は月影隊に親入隊員を迎える日。
藤弥夜月がこの世を去ってから十何年もの間月影隊はまだ存在していた。
士郎様も亡くなり、後を継いだのは俺、黒崎堕磨だ。俺は長年ここに居て、ある時士郎様に呼び出されて月影隊を引き継いで欲しいと頼まれた。断る理由もなかったから引き受けた。
今年の新入隊員はたったの1人だった。それも16歳くらいの女の子だ。彼女はとても緊張しているようだ。
「よく来た。緊張しなくて大丈夫だ。名はなんという」
「鵲 華夜(かささぎ かよ)です」
「そうか。いい名だ。これからの手続きは幸子に任せる」
「かしこまりました。鵲様ここからは私がご説明しますね」
幸子さんという人は私に月影隊の仕組みについて詳しく教えてくれた。
「では、明日華夜様に稽古をつけてくださる戦士を選んでいただくことになりますので、今日はゆっくり休んでください」
「はい。ありがとうございます」
翌日
(幸子)「では、華夜様に稽古をつけてくださる戦士を決めて頂きます。お1人ずつ自己紹介してください」
(吾郎)「俺は吾郎だ!女の子だからって手加減はしないぜ」
(義津)「俺はよつ。よろしくね」
(依零)「依零(いれい)。俺を選択しない方がいいよ。俺は弱いし、そもそも君に教える気なんて無いから 」
(幸子)「ありがとうございます。では、華夜様、稽古をつけてもらいたいと思う方をお選びください」
う〜ん、吾郎っていう人はなんかガツガツしてて、苦手だな〜。義津さんはなんか全然分からないし……依零さんは俺を選ぶな感半端ないし……どうしよう。
(吾郎)「嬢ちゃん、依零がいいと思うぞ。こいつはこう見えて優しいし、この中では一番強い」
「え、そうなんですか?」
(依零)「吾郎さん、余計な事言わない」
(吾郎)「本当の事だし、俺と義津はもう稽古つけてる子いるしね。依零が適任だ」
(幸子)「吾郎様、決めるのは華夜様ですので」
「あ、そうだったよね。ごめんごめん」
吾郎さんと義津さんはもう稽古をつけてる人がいて、依零さんだけいないのか……。確かに依零さんって人を寄せつけない感じあるしね。でも、教えてもらうなら一対一のほうが絶対いいよね。
「依零さんにお願いしたいです!」
(依零)「はぁ?!君、俺の話聞いてた?」
「聞いてました。どんなに厳しくても諦めません。だから、稽古をつけてください!」
(吾郎)「良かったな依零。初めての後輩ができて」
「だから、吾郎さんいっつも余計な一言が多いのはなんで?」
「いいだろう?いじられキャラなんだし」
「はぁ…」
(幸子)「では、華夜様に稽古をつけてくださるのは、依零様で決まりですね」
「よろしくお願いします!」
「なんで?俺が稽古付けるなんて言ってないけど」
「稽古つけてくれなくても勝手について行きます」
「なにそれ。ま、勝手にすれば」
依零さんはそう言うとどこかへ行ってしまった。
(吾郎)「嬢ちゃん、依零はあぁ見えて内心嬉しいんだ。本心をなかなか口にしないから分かりずらいが、大丈夫だ」
「え、そうなんですか?」
「あぁ」
そう言われても依零さんとこれから上手くやっていける気がしないよ……。でも、もうここしかないから頑張らないとだよね。