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「……ほんとに、いいんだな?」
いるまの声は、いつになく真剣だった。
ベッドの上、シーツの上で裸のまま見つめ合うふたり。熱を帯びた肌と肌が、触れ合って、でもまだ、一線は越えていない。
ひまなつは目を伏せながら、小さくうなずいた。
「……どうせ、止まんねぇだろ」
「違う。なつが嫌なら、本気で止める」
「……うるせぇ……黙って、早く……触れよ」
その言葉に、いるまの喉がかすかに鳴った。
重なる唇は、さっきよりもずっと優しく、深かった。舌と舌が絡み、くちづけが甘い音を立てる。
「……あ、んっ……」
ひまなつの声が漏れるたび、いるまの指がじわじわと下腹部をなぞり、慎重に、準備を進めていく。
「力、抜け。奥までちゃんと……届くようにしないと、痛いから」
「っ……わ、わかってるよ……けど……っ、あ、くっ……!」
初めて感じる異物感に、ひまなつは肩を震わせる。
いるまはキスを落としながら、指を増やし、少しずつ慣らしていく。額に汗が滲み、息が荒くなっても、優しさだけは手放さなかった。
「……準備、できた。……いくぞ?」
「……うん……来いよ、いるま」
その言葉とともに、ふたりの身体が完全に重なる。
最初の侵入に、ひまなつはかすれた声を漏らし、背を反らせた。
「っ……ぅ、あ……っ、や……ば……」
「大丈夫か? 苦しい?」
「っ……バカ、聞くな……。平気……だから、動けよ」
ふるえながらも必死に応えるその顔に、いるまは堪えきれず、そっと腰を動かし始めた。
「……すげぇ……おまえ、あったかい」
「……ん、あ、っ……やだ、そんな……声、出すなよ……」
熱が、擦れて、重なって、混ざっていく。
何度も交わしたキスの先に、初めて知る快感と、痛みと、優しさがあった。
やがて、呼吸も声も乱れて、ひまなつはいるまの名を、何度も何度も、吐き出す。
「……いるま……もう、無理……っ、ん、出、そう……っ」
「俺も……一緒に、……なつ……!」
名前を呼び合いながら、ふたりは一緒に果てた。
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静寂の中、重なった身体のまま、いるまがそっとひまなつの髪を撫でる。
「……ごめん、痛かったろ」
「バカ……っ、いまさら言うな……。けど……ちゃんと、優しかった」
「……ああ」
この夜が、ふたりにとって初めての本当の始まりだった。
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