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練習終わりの夜、ソファでストレッチをしていたはずの藍が、だんだん静かになってくる。
「藍?」
「……ん〜……」
目を閉じて、ぬくもりを求めるように祐希に寄りかかる。
「寝るならベッド行けよ」
「いやや、……祐希さんの隣がええねん……」
「お前、甘え方ほんとズルいな」
「起きてたいけど……祐希さんの声聞いとったら眠たなんねんもん……」
そのまま頭を撫でてやると、藍はうとうとしながら微笑む。
「これ……幸せっちゅうやつやな……」
「藍……」
「……だい、すき……ゆーきさ……ん……」
ぬくもりと安心に包まれて、甘えんぼはすやすやと夢の中へ。
藍の寝息が静かに重なるリビング。
撫でていた指先に、藍の髪がさらりと触れる。
「ほんと、ずるいな。お前」
そう呟いても、もう返事はない。
ソファにもたれて眠る藍の横顔は、無防備で、子どものように穏やかだった。
「幸せってのは、俺のほうだよ」
そっと藍の肩を抱き寄せると、藍は眠ったまま祐希の服をぎゅっと掴む。
「おやすみ、藍……」
ため息まじりの笑みをこぼして、祐希も目を閉じた。