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「古代ギリシャにおける妖術や呪術は、ギリシャ語でゴエーテエアというのです。つまり、その言葉のラテン語を、ゴエティア……つまり、それはレメゲトンの一つの書で、もっとも有名なんですね。ゴエティアは儀式魔術を意味しているんですが、同時に喚起魔法ともいわれている魔法が載っています。はい。そして、その喚起魔法とは邪悪な悪霊などを呼ぶ魔法として、人間をゾンビ化できるはずなんです。……恐らく、アルス・ノウァという……レメゲトンにある書なんですが。それは、逆にゾンビ化が治る魔法が載ってあるはずなんです……」
「レメゲトンとはそんな風に?! ああ、アーネスト……無事でいて……」
オーゼムの言葉に、真っ青な顔をしてアリスを介抱していたヘレンは、レメゲトンに畏怖と不可思議な興味が湧いてきた。
「さあ、モートくん。これで方針はだいたい決まったようなものですね! 皆さんを守ると共に、レメゲトンもなんとしてでも奪い返すのです! そして、勿論、黒幕はレメゲトンの近くにいます! ……何かの儀式を、今もしていることでしょう」
「わかった……よ」
そう言い残したモートは、片隅の質素な椅子から、いつの間にか姿がどこかへ消えていた。
ヘレンが窓際を再び覗くと、館外にさながら、黒い突風が走っていた。それは黒いロングコートを纏ったモートが一直線に、イーストタウンへと辺りのゾンビを肉片共々吹き飛ばしながら向かっていた。
モートは考えた。
街の人々を救うためには、死者となってしまった肉体は障害物だと思うことだ。そして、当然、その中には墓地から這い出たゾンビもいる。急いでアーネストとシンクレアとミリーも探さないといけなかった。