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5月17日___
久しぶりに出た外は気持ち良かった。
ホテルに行ったのは例外だったが楽しくてこのままずっと夜のままでいれば良いと思っているくらいはすごく。
でも歩いてる時母さんがいた。
なんであの時、足が動かなかったんだろう?なんでいるまに連れ去られて良いって思ったんだろう?
分からない
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🍵視点
暇ちゃんが行方不明になってから2週間が経った。
俺は碧也須莉。警察官だ。警察官って言っても親が警察署長であって俺が後を引き継ぐ為に今は頑張って勉強して 親の仕事も手伝う。
今日もまた丹羽さんの家にお邪魔する。前から知り合ってるお母様は暇ちゃんが居なくなって仕事以外は病むように外に出なくなってしまった。みこちゃんもこさめちゃんも大好きな兄が居なくなって寂しがってるため俺が暇ちゃんの代わりにはなれないが会いに行ってあげている。
🍵「お邪魔しまーす」
いつも通り呼び鈴を鳴らして玄関の開く音を聞いてから家に乗り上がる。最近は来客するのがだいたい僕しか居ないから勝手に家に乗り上がっても良い許可をくれた。
👑「!!すっちー!」
🍵「おっ!みこちゃん元気にしてる?」
👑「うん!」
🍵「……こさめちゃんは?」
👑「まだ寝とるよ!」
珍しい。あの子はいつも寝るより遊びに費やしてるのに今はもう9時を回ってる。よく見ればみこちゃんの目の下には隈ができている。眠れていないのか?
🍵「みこちゃん?なにかあった?」
👑「うえ!??」
そう言うとみこちゃんは困ったようにソワソワしだしてた。きっと言いたくても言っていいのか分からないんだろう。
👑「……母さん…がさ…」
そこまで言うと隣の部屋の扉が開く音がし、見ればお母様だった。すると俺を見た瞬間崩壊したかのようにストンと座り泣き崩れた。
🍵「おっお母様?!どうしました!?」
すると泣きながらも口にしてくれた。
「っ…なつにッ…出会ったっ…」(ポロポロ
その後リビングでソファに座り対面した形でお母様の話を聞いた。お母様が言うには昨日残業と飲み会で夜遅くなり家に帰ってる時に暇ちゃんともう1人男の人が歩いてるのを見た。暇ちゃんはすぐにお母さんと分かったのか驚いた表情でこっちを見ていたが隣の男に担がれてどこかに連れ去られたと。
🍵「っ…やっぱり誘拐か…」
「でもッ…その時っ…なつは振りほどいてまでこっちに来てくれなかったっ…」
🍵「…?」
「連れ去られてる時っ…少し安心した顔してっ…嬉しそうにしていたからっ…」
その言葉に少し驚いた。誘拐犯を安心した顔で?嬉しそうにしていた?誘拐犯はなにか催眠するような事をしたのだろうか。
その男の特徴を聞いたが暗かったし男も顔も服装も黒くて分からなかったと言っていたためそこまでの情報は握れなかった。でもとりあえず暇ちゃん自身は無事な事には一安心しよう。こさめちゃんもみこちゃんも親がいなくて2人っきりだから寂しくて夜はあまり眠れないのだろう。早く対処しなければ
🍵「…お母様、話してくれてありがとうございます。必ず見つけますんで」
「っよろしくお願いしますッ…」
「私のッ…自慢の息子なのでッ…」
ベッドの中に潜り込みながら目を開く。まだ少し眠いが目を擦り何とか眠気を飛ばす。いるまはとっくに仕事に行っていて今は家に俺は1人だった。一昨日から襲われた為腰は痛いし動けないし、今日はただ寝てるだけで時間を潰してしまうのだろう。
昨日のお母さんの顔を思い出す。 俺が生きている事、会えた事に嬉しそうな顔をしてこっちを見ていた。俺だって少し嬉しかった。
でもいるまを見たら何故か安心してしまった。身体が動けなかった。誘拐犯にここまで心を許すとは思わなくて昨夜からずっとびっくりしていた。
🍍(……眠いな…)
そう思いながら俺はまた目を瞑る。
昔の夢を見た。
🍍「お母さんっ!僕また100点取ったよ!」
「まぁ!すごいじゃない!」
俺の家は貧乏だった。 母子家庭でありお父さんは俺が産まれた時からいなかった。そのためお母さんは俺ら3人を育ててきたし仕事や休みの時はアルバイトを俺らの学費や食費に費やしてくれた。
「なつは自慢の息子ね!」(ナデナデ
🍍「!!えへへっ///」
俺の頭を撫でてくれる母さんが大好きだった
でもだんだんお母さんは変わっていった。
🍍「…母さん、俺大学行きたくて…」
「大学?」
🍍「ぅ…うん!特待生が受けれる試験があってそこに合格すれば入学費免除とか」
「…私はいつまであなたの為にお金を出さなきゃいけないの?」
🍍「っ…でも俺、勉強も頑張るしバイトもやってお金貯めるからっ」
「そんな所やめて就職しなさい」
少しずつ俺に興味を示さなくなった。こさめやみことには優しいのに俺には冷たくなっていった。夕飯とかは俺の食事は弟達より圧倒的少なかったり、2人の授業参観は来るのに俺の三者面談は来ない。俺が大人になんだし兄だからなんだろうけど。
「……何?この点数?」
🍍「……ごめんなさい…」
一時期学校のテストを受けてる時バイトの疲れなのかあまり体調が良くなくて我慢して解いたが見事にすっごく点数が悪くて返ってきた事がある。先生に心配されるくらいだ。
🍍「っ…体調が良くなかったからっ…今度はちゃんと気をつけるからっ…」
リビングが冷たい雰囲気だったからかみことやこさめも廊下から覗き込み見守っていた。
「言い訳なんていらない、私はあなたをこんな子に育てた覚えはないわ」
🍍「っ…ごめんなさいッ…」
「こんなので就職なんて出来るわけないじゃないの!せっかくこっちは時間を削ってまで仕事を頑張ってきたのにッ!!あなた達が暮らせてるのは誰のおかげなのッ!?」
🍍「ッ…ごめ…なさっ…」
「謝っても許してくれると思ってるの!?」
2人にとってトラウマを埋めつけちゃった瞬間かもしれない。廊下から2人の泣き声が響いてた。
「っこさめ!みこと!」
お母さんの顔は変わっていて2人を心配して廊下に飛び出して行った。俺も廊下を見ればお母さんが泣いてる2人を抱きしめてる光景でその顔は昔俺にも向けてくれたとても優しいお母さんの顔だった。
あれから母さんの顔を見ながら生活をしていった。機嫌が悪い時は自分で家事もするし、勉強も1日4時間以上もして、高校を出たあとの進路調査も俺は就職に希望した。
お母さんの知り合いの警察署長の息子さんとも面会もした。すちが勝手に俺の事を一目惚れをしたらしくてお母さんも俺に相談もせず了承していた。男同士だけど今はお付き合いもしてるし将来はきっと結婚もするはず。
俺がそうすれば、我慢すれば母さんもこさめもみことも幸せに暮らしていける。すち達も幸せにできる。自分を押し殺したってあの時の笑顔を見せてくれれば全然構わない。そうすれば今幸せなんだもん
俺は幸せだ
仲のいい兄弟だっているし
愛おしい恋人だっている
毎日が充実してて楽しくて
俺が世界で1番幸せ者だと思い込んでいた。
___本当に幸せなのかな?
そんな懐かしい夢から覚める
📢「あ、起きたか」
すると目の前にはいるまが俺の顔を覗き込んでいた。仕事から帰ってきていて風呂上がりなのか頭にタオルを乗っけていた。
📢「お前ずっと気失うくらい寝てたから」
🍍「……いるま…」
📢「夕飯にすっから起きな?それとも体調悪い?まだ腰痛いか?」
心配の言葉を投げかけながら俺の頭を撫でてくれる。やっぱりいるまの手はものすごく温かくて安心する。するといるまが驚いた顔をしていた。
📢「…っ?!なつ?大丈夫か?」
頭を撫でた手が次に俺の頬を撫でるように親指で目元を拭ってくれた。少しずついるまの親指が濡れていって水滴が頬に垂れてきてるのを感じて口の中に入った。少し塩っぱい
あ…俺、今泣いてるんだ___
🍍「…っふ…ぅっ…ううっ…」(ポロポロ
分かってしまったらもう涙が溢れて止まらなくて、自分で何故泣いてるのかよく分からなくて。ただ分かるのは昔の優しい記憶が目の前にいるいるまと重なってしまって心地良い安心感とちょっぴり悲しい気持ちが混ざっていた。
📢「っ…なつ…?」
🍍「っ…いるまぁッ…」(ポロポロ
あの時できなかった我儘を彼にぶつけた。
🍍「ッ…抱きしめてッ…欲しいっ…!」
するといるまは驚くがすぐに優しい笑顔に変わり俺の背中に腕をいれ抱きしめてくれた。頭を撫でる手も添えてくれて。
俺はただ子供みたいにいるまに縋りついて泣いていた。
泣きながら昔幸せだと思っていたものがちっぽけに感じてきていた。
コメント
4件
なつくん…そんなことがあったんだ…幸せになって欲しいな、
ありがとうございます✨️ 続き待ってました😭 🍍くんにはほんとに幸せになって欲しい…🙏🏻🥺
赫ちゃぁぁぁん、....(´•̥ω•̥`) どこが幸せなんだよぉぉぉぉ(´°̥ω°̥`)