____消えたい私と生きたい君___
午後6時、辺りはもう黒色に染められている
しんっとした美術室には、黒縁眼鏡《クロブチメガネ》を掛けた少女が絵を書いていた
…何かに取り憑かれたかのように
心穏(シオン)「ッ………なんで…なんで書けないの…?」
少女が、手に持っていた色鉛筆[イロエンピツ]を落とす
心穏「…書かなきゃ……書かなきゃ……ッ…そうじゃないと私の存在価値は…ッ!」
少女は、もう一度色鉛筆を持ち、すらすらと下書きを書いて行った
午後、8時
少女の携帯に電話が、かかる
…だが、
心穏「カキカキ)……」
少女は、その電話を無視した
それ程追い詰められていたのだろう…
次の日
彼女は、地面に座り込み自室で…
泣いていた
そして、彼女の目の前には破られた”絵だった物”がある
心穏「………なんで…書けないの……?…”あの子”見たいな絵を書かないと…書かないとッ!私は……私は……ッ…私は……ッ」
彼女は、椅子から降り、ベランダのドアを開けた
彼女が住んでいる家は、3階建ての家…
此処から飛び降りても死にはしないかもしれないが…
無傷では済まない……
彼女は、ベランダの隅に行き…下を見下ろした
心穏「……」
澄み渡った青空……
私の心とは大違いだ
何度も、何度も挫折して、自分の存在価値を認めてもらう為に何度も自分の身を削りながらも絵を書き続けた…
…だけど……もう疲れてしまった……
心穏「……絵なんか…消えればいいのに…」
そう言い彼女は、ベランダから飛び降りた
意識が頭の強烈な痛みと共に意識も薄れ、違うドクドクと滝のように流れ出る
周りの人達のざわめきも大きくなって来た…
私は頭の隅っこで、私は一体何をしたかったのだろうと…考えながら…意識を手放した