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昔、大事な人を目の前から攫われたのを忘れられない。
その日、ある事を彼女に伝えようとしていた。
話の順序をおって俺と彼女の出逢いから話そう。
三月の空、その日は何故か無性に空が見たくて登校して最初に向かったのは屋上だった。
扉を開けると、春の空気が屋上を駆け抜けていくのが頬に優しく感じ、目の前に広がっていた晴天に
感動と驚きの感情が込み上げてもっと見たいと思い、屋上の柵に手を置き見上げていた。
フッと下から生徒の話声や笑い声が聞こえ見下ろしてた先には、
恋人を登校している奴らや俺にはない物を持っている奴らが歩いて、内心で羨ましくて憎らしくて、
”俺が死んでも誰も何とも思われないだろうな“と言う考えが頭を過ったと同時に、後ろの扉から大きい音をたてて
開けた女の子は俯き息を整えた後、顔をあげて俺の顔をじっと見ていた。
呆然と見ているだけの俺のその子の印象は、空色の瞳だった__。
するとその子は俺に近づいて、腕を振り上げて叩いた音は空へと響き渡った。
困惑して何が起きたか分からず、吃驚し自然と叩かれた頬に手を伸ばし擦って「…何すんだよ。」と呟いた。
「何してんの?何、勝手に死のうとしてんの?」その子は眉間に皺を寄せて俺に睨み、怒った声で言った。
何で、彼女が俺に怒るのか分からず「…何で怒ってるんだよ」と思わず言ったらその子は目を見開いて驚いて
「覚えてないの?貴方は私を助けてくれたんだよ、昔…」その言葉を聞いて「え?」と驚きの声をあげていた。
これが彼女と俺の出逢い、その後、飛び降りる気はないと伝えたら叩いた事を謝ってくれた__
そして、あれから年月は流れて俺と彼女は大人になった。
その日は緊張と不安があった、それは…前々から彼女にプロポーズをすると言う計画を決行を旨に決意を込めて
サンダルを履いて家を出て公園へと向かっていた最中に街中のドレス屋のショーウィンドーに飾られたマネキンが
着ているウェディングドレスとタキシードを見掛けて足を止めて暫く見ていた。が、一瞬、俺と彼女を重ねて見えて
”おれも…彼女と幸せな結婚を…彼女を幸せにできる男になりたい…彼女が自慢できる男に…“
と言う気持ちが突如、込み上げて“彼女に会いたい”と思った__そこから自然と彼女が待つ公園へと向かって走っていた…
走って走って…只管走って、商店街や町を駆け抜けて行った。
公園の前に居る彼女が見えて「真子!!」と大きな声で呼ぶと彼女は振り向き自分を呼んだのが俺だと分かると
「一松!!」嬉しそうに俺の名前を呼んで手を振って走って近づいてきた。
駆け寄ろうと彼女の方に走っていたら「あーーーーーーーーー!!!!!!」大きな声が聞こえて吃驚して、思わず視線の先を見ると六歳~七歳位の女の子が居た。
「空海!!空海!!空海!!空海!!!!発見!!発見!!発見!!!!」
女の子自身の後ろに居る男の名前を連呼して彼女を何度も指さした。
空海と呼ばれた男は軽く女の子を睨んで「うるせぇ…鞘香、何度も呼ぶんじゃねー聞こえてる」
言った後、吸っていた煙草の火を靴底で消してスーツジャケットの胸ポケットから携帯灰皿を取り出して入れつつ冷たい視線を彼女に一瞬向けた後、柔らかく微笑みを浮かべ近づいて
「初めまして僕の名前は空海と申します、突然の訪問に驚かれている所を申し訳ありません…あんたが、白蘭様が探してた竹内真子だな?」空海は彼女の顔を覗き込んで問いかけた。
彼女は何故、彼が自分の名前を知っているのかが分からなかった……_次回へと続く__