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2 - 戦場の夢

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2025年11月29日

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男は今、死の淵に立たされていた

現在、世界中では戦争が耐えなく、この男は敵兵に捕まり、処刑されようとしているのだ

下を見ると渓谷の中で轟々と荒波を立てる川、そして自分の太もも辺りにぶら下がった丸く結ばれているロープが目に入った

男が今乗っているのは板1枚だ  男の反対側には1人の兵士が乗っている

あの男が板の上からどけると男が落ち、首が締まるという仕組みだ

逃げようにも腕はロープで縛られている

(このロープをちぎれたら、川を泳いで、森を走り、妻がいる家まで行くのだが、、)

そんなことをぼんやりと考えた男はそんなこと出来ないとわかっていながら、少しでも希望を見出そうとしていた

そして、処刑の時間になった

兵士が板の上からどけた、、

その瞬間男の体は重力に従って落ちるのが感じられた

(ここまでか、、)

そう思い、目を閉じると、

(ガコンッ

上でなにかの音がした

そして、男の体はぶら下がることなく、川へ一直線に落ちていった

どうやら、ロープを吊るしている部分が錆びつき、壊れてしまったらしい

(チャンスだ、!)

そう思い、男はロープを鋭い岩で切り、どうしたものかと考えていると、上からピストルの音が聞こえてきた

上を見ると、敵兵が男を逃すまいとこちらへ銃を向けていた

男はあわてて水中へ潜り、ピストルの射程範囲外まで行こうとした

そうしている間にも上からピストルの弾が頬をかすめた

しばらく泳ぎ、ピストルの音が聞こえなくなった

(助かった、)

そう思った瞬間、真横で大きな爆発のようなものが起こり、水しぶきが上がった

(大砲だ!)

男は直感で確信した

もっと遠くに逃げなければ、こんなところで終わってはいけない

そう思い、男は更にスピードをあげた

大砲は準備にかなり時間が必要みたいだが、いつ打ってくるかはわからない

無我夢中で泳ぎ、岸についた

兵士は誰も追ってきていない

男は早く妻に会いたくて、走って森の中へ飛び込んだ

ここがどの辺か、なんとなく目星は着いている

戦場から連れてこられた時

本当は起きているが、気を失っているように見せかけ、戦場からどのくらいの距離で、どの方位に位置しているのかを把握していたのだ

ここは家から少し遠い

国境をまたぎ、少し歩けば10時間以内で家に着くことができる

でも、歩いている暇はない

心配しているだろうな、安心させたいな、

そのような気持ちが込み上げた

体が悲鳴をあげても、男は止まらなかった

そうして休むことなく走り続け、家が見えた

久しぶりに見た家は、朝日に反射してキラキラと輝いていた

そのとき、男は初めて一晩中走っていたことを知った

すぐに扉を開けると、妻が驚いたような顔でこちらを見ていた

妻は、言葉で言い表せないくらい嬉しそうな顔をしていた

男も、同じような顔をしていたのだろうか

男はたまらず走り出し、妻を抱きあげようとした

その瞬間、首に激痛が走った

気づいたら妻も、家も、全てが虚無に還っていた

(なぜだ、?)

そのとき、男は悟った

あれは全て夢だったことを

首の骨が折れ、男の身体は 川の上でぶらぶらと揺れていた

周りを見ると、同じような死体が何個も中に浮かんでいた

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