「納得できなくても」
花音(かのん)と目を合わせないまま、重苦しい時間が流れる。
自分がなにか話したいのか、それとも花音の話を待っているのか、自分でもよくわからなかった。
でもはっきりしていることはひとつ、俺は花音の望む答えを渡せない。
いくら花音がかわいくて好きだとしても、 千尋(ちひろ)の存在は揺るぎないし、話し合ったところで変わらない。
花音は俺の心中を悟ったのか、弱い笑みを浮かべた。
「ほら、俊樹(としき)くんの中でもう答えは出てるでしょう。私の中でも出てる。だから……ここで終わりだよ」
これまでの話を結論づけるように、花音は言った。
俺は細く長い息をついて、頭の中を整理する。
「わかった」
取り乱したり感情的になりたくなくて、自分を保とうと冷静に言ったつもりの声は、やけに大きく耳に届いた。
もう花音と終わりなら、一緒にいる意味はない。
今すぐこの場から***************************
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