「もしかして、俺は」
呆然とする俺の顔がおかしかったのか、「そんな驚かないでくださいよ」と 花田(はなだ)が大声で笑う。
「たまたま俺も貿易の伊田(いだ)に聞いて知ったんですよ。同じフロアでも部署が違うと話が入ってこないですよね。あ、日比野(ひびの)さんの送別会やるんで、ちゃんと出てくださいね」
花田がそう言ったところで、電車がホームに到着し、俺たちは他の乗客に押し出されるようにして外へ出た。
会社へ向かう間も花田は仕事の話を続けていたが、俺の頭はさっき聞いた 千尋(ちひろ)のことしか考えられない。
千尋が会社をやめる? なんで?
詳しく聞きたくても、花田はそれ以上知らなさそうだし、真相を確かめたい一心でオフィスへと急ぐ。
フロアに戻ると真っ先に貿易部を見たが、千尋の席は空席だ。
その時、ちょうどコピー機のほうに、千尋と同じ貿易部の事務をしている 田中(たなか)*****
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