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冷たい風が耳の温度を下げる
もう慣れてしまった風景と、少し違う波の高さ
でもなんだか、”あの日”と似ている気がした。
目を瞑り、耳を澄ます
ザー。ザー…。と少し違う間隔でなり続ける波の音と、ほぼ同じ間隔で鳴る心音。
ここになり続ける音全部が心地よく思えた
もうクシャクシャになってしまった写真を取り出し、紙になじんだシワを伸ばす
…もう、一ヶ月か。
そう感傷に浸りつつも、ゆっくりと目を開ける
空は雲は多少ありつつも、晴れていた。
ゆっくりと雲は風景を変えていく
時間の流れは、それでも早かった。
少し足を進める
「……えむ……、っ」
『寧々ちゃん…、泣かないで』
「……でも…っ、」
『泣いた寧々ちゃんも可愛いけど、笑った顔があたしは好きだな。」
「…あはは、いつものえむらしいね、」
『そうかなぁ〜、えへへ、嬉しい」
「……なんで…、おいてっちゃったの…、?」
『……ごめんね。」
「………寂しい…な。」
『……あたしも。』
「……会いたい…、よ、」
『…会おうよ、』
「……うん、」
手を伸ばす
ないはずのそれは、私を引っ張ってくれる気がした
一歩ずつ足を進める
足元の冷たさなんて、もうどうでも良かった
「…えむ、」
『どうしたの?』
「……大好き…、だよ」
『あたしも、』
「これからは、一緒に…いられる?」
『うん、ずっといっしょだよ、」
「…よかった、」
久しぶりに口角が上がった気がする
これからは、一緒に居られる。
君は海の亡霊の。