その日は、学校の帰りに友達の里乃と一緒にショッピングに行く予定だったのだけど、途中で迷ってしまった。携帯の地図を頼りに歩いていたけれど、どうしても目的地に辿り着けなくて、時間がどんどん遅くなってきた。
「どうしよう、もうこんな時間…」
最初は不安だったけれど、友達に電話をかけても、なかなか連絡が取れない。辺りは少し暗くなり始め、さすがに怖くなってきたとき、ふと見覚えのある景色が目に入った。
「ここ…広瀬先輩と会った場所!初めてじゃないけど…笑」
思わず先輩にメッセージを送った。
『迷子になっちゃって、今近くにいるんだけど、どうしても帰れなくて…。』
数分後、先輩から返事が届く。
『お前、まじ?待ってろ、迎えに行く。』
私はそのメッセージに安心し、先輩が来てくれるのを待っていた。
数十分後、先輩が自転車に乗ってやってきた。
「どこで迷ってんだよ。」と少し呆れたように言われたけど、どこか安心感があって、ホッとした。
「すみません、ほんとに迷っちゃって…。」
「まったく…。」
先輩に案内されて、広瀬先輩の家に到着。ドアを開けると、先輩の家は想像よりも広く、落ち着いた雰囲気のリビングが広がっていた。
「お疲れ、ゆっくりしてろよ。」と先輩が言って、私はソファに座った。
「でも、こんな遅くまで外に出てたから、帰るのも危ないし、今日は泊まっていきな。」
「え、でも…ご両親は?」
先輩は少し黙った後、「今、家にいないんだよ。だから、気にしなくていい。」とあっさり答える。
その言葉に、私は安心してうなずいた。
「ありがとう…!助かります!」
の前にさ!!家近くだけど??笑
先輩は、シャワーを浴びるように言ってくれて、お風呂を貸してくれることになった。
「風呂、空いてるから使っていいよ。」
「はい、ありがとうございます!」
シャワーを浴びて、さっぱりした後、リビングに戻ると、先輩が出してくれたお茶を飲みながら、どうしても気になることがあった。
「でも、服がないな…」
先輩がちょうど手に持っていたシャツを指して、「あ、それ貸してやるよ。」と渡してくれた。
「え、でも大きいですよね?」
先輩は「ちょっと大きいけど、着てみろよ。」と言って、無理にでも着させようとする感じだったので、私はそれを受け取った。
シャツを着ると、確かに先輩の服は少し大きくて、袖が少し長かった。でも、その大きさが、なんだか落ち着くような気がして、私はそのままリビングに戻った。
「どうだ、似合うか?」
先輩が少し驚いたように見てくる。
「うーん、ちょっと大きいですけど…でも、意外と気に入ってます!」
その瞬間、先輩が少し照れたように顔をそらして、「なら良かった。」と言って、ソファに座った。
「でも、先輩、これって…彼シャツみたいじゃないですか?」
私は冗談っぽく言ってみたけれど、先輩はその言葉に反応して、少し黙った。
その後、少しの沈黙が流れる。
「ま、まあ…着たいなら、どうぞ。」と、先輩はあまり気にしていない様子で言ったけれど、その顔はいつもより少し赤くなっているように見えた。
「先輩、恥ずかしがらなくても…」
「うるさい、寝ろ。」と、先輩はいつものクールな顔で言うけれど、どこか照れ隠しのように見えて、私は思わず笑ってしまった。
その後、二人で寝る準備をしたけれど、ベッドは一つしかなかったので、少しだけドキドキしてしまう。
「どうしよう、先輩。ベッド、どうしても一緒に寝るしかないんですか…?」
先輩は少し照れた顔で、「お前、他にどうするつもりだよ。」と言いながら、もうベッドに入ろうとする。
「あ、はい、わかりました…。」
二人きりの空間で、私は心臓がドキドキしながらも、ゆっくり目を閉じた。
閉じた…閉じたけど!先輩が近すぎて…。
寝れない…。先輩の家は、爽やかなミントの香りがしたんだ。