テラーノベル
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館さんと別れると、すっかり外は暗くなっていて、急いで阿部ちゃんのマンションに向かった。
2週間ぶりに会う翔太くんは俺を許してくれるだろうか。少し会うのが怖い。インターホンを押すといきなり扉が開いた。
亮平💚 『なんだ蓮か・・・何?』
誰だと思ったんだろう?
蓮 🖤 『翔太くん居るでしょ?』
亮平💚 『・・・上がって』
静まり返るリビングに、翔太くんの痕跡を探した。ここに2週間もいたのかな・・・
蓮 🖤 『翔太くんは?』
亮平💚 『寝てる・・・で?今更何?迎えにきたとか言わないでよ』
蓮 🖤 『連れて帰るから・・・どこ翔太くん』
亮平💚 『蓮には渡せない。俺、翔太の事好きだから』
蓮 🖤 『ちょっと待って阿部ちゃんえっ?だって阿部ちゃんは』
亮平💚 『リバだから・・・翔太の気持ち分かってあげられる。蓮には無理でしょ?翔太のために受けにまわれる?そんな絶望的な顔しないで。蓮を傷つけたい訳じゃない』
蓮 🖤 『でも・・・そんな、余計ここには置いておけない!どこ?翔太くん返して』
亮平💚 『勘違いしないで、向こうからここに来たんだから・・・それにもう帰った』
翔太くんは2時間程前に家に帰ると言って阿部ちゃんの家を出たらしい。全く無駄な時間を過ごした。こんな時になんで阿部ちゃんの好きな人聞かされないといけないんだ。
亮平💚 『蓮には翔太を幸せにできない。今回の事でよく分かった。また翔太を泣かせるようなら俺が貰うから』
蓮 🖤 『安心して阿部ちゃん、毎日ベットで鳴かせてるから』
悔しそうな阿部ちゃんの顔を確認してマンションを後にした。
誰にも翔太くんは渡せない。だいたい、この前まで俺のこと好きとか言っておいて、移り気の早さったらないだろう。全く信用ならない男だ。
蓮 🖤 『あんな見苦しい捨て台詞しか言えないなんて見っともないな』
翔太くんのマンションの前まで来て部屋を確認するが電気がついていない。一体どこで寄り道してるんだか。
ふと見覚えのあるサンダルが転がっているのが目に止まった。
いつかのベンチに横たわる、翔太くんから伸びた白い足に、投げ出されたサンダルが、寂しそうに街灯に照らされている。
蓮 🖤 『何やってるんだよこんな所で』
軽く揺すってみるが起きない。体が冷たい。一体いつからここにいるんだろ。
蓮 🖤 『翔太くん、起きて風邪ひいちゃう翔太くん』
翔太💙 『んっ・・・れ..ん..?..あ〜俺とうとう死んじゃった?』
蓮 🖤 『まだ死んでない。帰るよ』
翔太💙 『あ〜・・・歩けない・・・力入んなくて・・・蓮にうぐっうっ(泣)迷惑かけられないから・・・涼太を・・・涼太呼んで』
蓮 🖤 『無理』
軽くなった翔太君を抱き抱えて家へと連れ帰る。
翔太くんは悪態をつく元気もないみたいで、力なく腕を下げるとそのまま俺の腕の中で目を瞑って涙を流した。
蓮 🖤 『翔太くん、お家着いたよ』
翔太くんは腕の中でいつの間にか寝てしまっていた。ベットに降ろすと、キッチンに立って冷蔵庫を覗くけど見事に空っぽだった。寝室を見て寝息をたてているのを確認してから近くのスーパーに向かった。
買い物を終えて部屋に戻ると脱衣場で物音がする。
蓮 🖤 『何してるの翔太くん⁉︎』
翔太💙 『ぁ〜お風呂入れようと思って、倒れた。ごめん。俺もうダメみたいだ』
蓮 🖤 『ごめんごめん翔太くんごめん』
壊れそうな翔太くんを抱きしめるとふふっと笑った。弱々しく翔太くんが俺のシャツを掴んでいる。
翔太💙 『蓮、痛いよ。離して』
蓮 🖤 『嫌だ』
翔太💙 『離れようって言ったのはお前だ』
蓮 🖤 『ごめん』
翔太💙 『離れろバカ蓮』
蓮 🖤 『嫌だ』
翔太💙 『困ったヤツだね全く』
そう言うとまた力なく腕がダラリと床に落ちた。
小さくなった翔太くんの上に俺の涙がポタポタとこぼれ落ちた。
翔太💙 『蓮の泣き虫』
蓮 🖤 『ごめん俺のせいで・・・こんな翔太くんヤダ』
翔太💙 『ふふッとうとう嫌われた』
子供みたいに声をあげて泣いた。
翔太💙 『泣くなよ蓮・・・女の子みたいだぞ』
翔太くんは腕をあげるのもやっとで彷徨う翔太くんの手を掴んで頬張りした。
翔太💙 『蓮、愛してる・・・』
翔太くんは安心したのかそのまま気を失った。
翔太 side
美味しそうな匂いで目が覚めた。キッチンから蓮の音がする。好きな人が奏でる生活音がこんなにも嬉しいものだなんて知らなかったな。
2時間ほど寝ただろうか?重い体を起こし外を見ると自信満々に悠然と輝く街灯が〝お前も頑張れ〟と言っている。
翔太💙 『生意気な街灯め』
ベットから降りると、足に力が入らず床にへたり込んだ。 全く情けない。
ベットの縁を掴んでリビングに出ると、蓮が慌てて走ってきた。
蓮 🖤 『呼んでくれれば行ったのに』
蓮は消化のいいものをと、雑炊を作ってくれていた。蓮の方がお嫁さんに向いてる。でもやっぱり蓮はカッコいい。腕を捲った姿が男らしく色気がある。
蓮 🖤 『そんなに見られてると恥ずかしいね』
翔太💙 『自意識過剰だバカ』
蓮 🖤 『そうかな?カッコいいって聞こえたけど』
えっ俺声に出ちゃってた?恥ずかしいんだけど///
蓮 🖤 『ふふっ嘘だよ。照れちゃって可愛い』
翔太💙 『////やめろよ可愛いって言うの』
俺がそう言うと急に蓮が怖い顔をして、俺の隣に腰掛けた。急にソファが沈み込んで体がふらつくと蓮が慌てて支えた。蓮の肩に頭が乗っかる形になって恥ずかしくて身じろぐと、同じ位置に戻された。
翔太💙 『やめろよ。これじゃ女の子みたいだ』
蓮 🖤 『翔太くんそんなに嫌?可愛いって言われるの』
翔太💙 『前は蓮から言われると嬉しかったけど今は・・・すごく嫌だ・・・ 』
蓮 🖤 『俺のこと嫌い?』
翔太💙 『その言葉そのままお前に返す。別れたいって言ったのは蓮だろう』
蓮 🖤 『俺別れたいなんて言ってないだろう?距離を置こうって言ったんだ』
翔太💙 『同じことだろ』
蓮 side
・・・いや同じじゃないだろう。この人どうやらトンデモない勘違いをしている。
一体全体どうしたら別れ話だと勘違いするんだ。いずれにしろ、俺の真意が伝わっていない以上、非があるのは俺の方だ。
〝ごめん言い方が悪かった誤解だよ〟と素直に謝れば〝ちゃんと言えよ分かりづらい〟と返ってきた。
確かに説明不足だったのは否めない・・・
翔太💙 『お腹空いた』
翔太くんは俺の作った雑炊を茶碗一杯分食べた。美味しかったようで〝蓮、明日も作って〟と言ってきた。
蓮 🖤 『明日の約束ができたね。元気になったら、焼肉行こう』
そう言うと小さく〝うん〟と頷いた。
コメント
9件
はぁ、可愛い💙
マジで妄想でも別ストーリーでもいいからあべなべ書いて欲しい!!!!!!苦しい、阿部ちゃん奥手すぎて😂😂😂😂😂😂😂😂