テラーノベル
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午後20分間の休憩時間、私は自室で散々迷ったのち黄色いキャンディーを口に入れた。
そして、その甘酸っぱい美味しさをゆっくりと味わいながら、遥香のアカウントをチェックする。
そこには、今朝私が撮った写真に
#サステナビリティ
#リメイク
#ブランドワンピース
などとタグ付けした投稿がしてある。
「サステナビリティねぇ……言ってみたかっただけだろうね」
だって、その前の投稿はブランドバッグが並んでいるのだから。
一人でどれだけ使えるのか……と思うレベルだよ。
でも、遥香は自分がブランド品に囲まれた生活をしているセレブインフルエンサーとして活動しているけれど、以前のネックレスのように奥様の物も自分の物として投稿しているのだ。
まあ、それでもいいから、遥香のフォロワーがたくさんいれば、私がアカウントを乗っ取るとか……復讐方法を考えられる。
だけど今はまだ、遥香に私たち家族の苦しみを与えるだけの決定的な手段ではない。
それから数日後の土曜日の午後、土曜日は私と広瀬さんしかいないので、二人でキッチンに入り夕飯の準備を始めようかという時に内線が鳴った。
「はい、広瀬です……かしこまりました」
と、受話器を戻しながらこちらを見た広瀬さんに
「遥香様ですか?」
と聞くと
「遥香様の部屋から池田様が、すぐ来いって」
広瀬さんは両肩をクイっと上げて、首を横に振った。
「いつ来たのでしょうね?今?」
「さあ?」
呼ばれてないので分からなかったけれど、私はキッチンを広瀬さんに任せて遥香様の部屋へ行った。
コンコンコン……
「真奈美です、失礼します」
初日に言われた通りに名乗って入室するのにもすっかり慣れたな。
カチャ……
「真奈美、今すぐベッドを整えて。私たちがシャワーを終える前に部屋を出なさいよ」
ドアを開けた私がまだ一歩もベビーピンクの絨毯を踏まないうちに、全裸の遥香がブラウスを片手で胸に当てるようにして歩きながら私に言いつけた。
同時に
「遥香、早く来いよ」
という池田の声がシャワー室から聞こえる。
この部屋にお風呂はないけれど、シャワー室と洗面化粧台があることは清掃もしているので知っている。
しかし……まあ、何て趣味の悪い二人なのだろうか……嫌がらせなのだろうね。
お尻を見せながら遥香が視界から消えると、大きなため息が出る。
私はシャワー室のドアの音に耳をすませ、遥香もシャワー室へ入ったことを確めてから、ワンピースのポケットファスナーを開けてボイスレコーダーを出す。
「今日は…体温も体液も残ったベッドメイキングを命じられたってこと。本人たちは数メートル隣でシャワーっていう神経がわからないわ。二人して悪趣味」
とナレーションを入れるようにしてから、ぐしゃぐしゃのシーツをベッドからはがす音をしっかりと録音して、きちんとボイスレコーダーをポケットに戻すと、そこから2分で新しいシーツをセットして部屋を出た。
コメント
5件
ぅえーーーッ😖
放っておいたら自爆しそうでしないのか。強力なスポンサーがいるからやりたい放題。篤久パパは傲慢母娘をどう思っているのかな?
どこまでもサイテーな奴ら😠 ホントお似合いなバ○ップルだよ😠😠😠