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キーンコーンカーンコーン
「あ、チャイムが鳴ったね。そろそろ戻ろうか。薫さん。薫さん?」
薫の方を見ると、彼女は涙を流していた。
「薫さん?どうしたの?」
「あ、ごめんね!なんでもないよ!ただあくびをしただけだから!」
そう、彼女は誤魔化した。だけど、絶対に違うって確信した。彼女は何かを隠していると、はっきりと感じた。
ー薫さんは何を隠してる?家庭の事情じゃないならなんだ?病気、とかなのかな?でも、それにしては、明るい、?
その後の彼女は午前中と同じように、積極的に発言して、学ぶことを楽しんでいた。そんな彼女を見ていたら、最悪な想像が脳内を駆け巡った。僕は、その可能性を消したかった。だけど、それは、この2日の彼女の行動に説明がつく。考えすぎだと信じたい。
ーまさか、余命宣告、とかなのかな?だとしたら、薫さんのモットーにも説明がつく。命の終わりがわかってる。だから、一瞬一瞬を大切にして、その瞬間を全力で楽しむ。確かに説明はつく。だけど、そんなことが、あっていいのか?また、失っちゃう、のかな?
僕には、雪のいう名前の妹がいた。2年前に病気で亡くなったけど。雪は、薫みたいに笑っていた。だけど、その裏には恐怖があって。それを雪は必死に笑って誤魔化した。彼女が”死にたくない”と、”怖い”、と話したとき、僕は彼女に言った。”なら、今を全力で楽しもうよ。お兄ちゃんも全力で手伝うから。ね?”と。すると、雪は笑って言った。”ありがとう”と。それから雪は変わった。死への恐怖があっても、前を向いていた。笑って前を向いていた。だけど、雪との別れは来た。その時に彼女は言ったんだ。ーお兄ちゃんのおかげで楽しく過ごせた、ありがとう。って。
だけど、彼女の死は、僕を苦しめるには十分すぎた。彼女が亡くなってからの僕は無気力で、何もかもを捨てたくなった。だけど、それを助けてくれたのが雅だったのだ。雅のおかげで僕は前を向けた。いや、後ろを見なくなった。
ーまた、いなくなってしまうの、かな。
「薫さん!」
僕は、薫に声をかけた。
「何?どうしたの?」
「一緒に、帰ろう、薫さん!」
すると、彼女は驚いたけど、笑って言った。
「うん!帰ろう!日向くん!」
僕ははっきりと感じた。
ーあぁ。そうか。僕は、この笑顔をずっと見ていたいんだ。
そして僕たちは、帰路へとついた。彼女との別れは本当に来るのか。そんな未来が来ないことを、願わずにはいられなかった。
コメント
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ああ、なるほど…。妹さんの話が出てきたことで、日向くんの視点がぐっと深くなった回でしたね。薫さんの明るさの裏に“最悪の想像”を重ねてしまう心の動きが痛いほど伝わってきた。あの「一緒に帰ろう」って一言に、失いたくない気持ちが全部詰まってる感じがして、切なかったです。続きがすごく気になる…!