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20xx年、日本は度重なる災害、政治家の廃れ、周りの戦争、加速する地球温暖化により前の姿は見る影も無く荒廃している。適当に20xx年と言っているが、実際は記録する物が無いためもう今は何年か分からない。人口は圧倒的に減り、東京だった所にもせいぜい30人位だ。スクランブル交差点だった所も、フラフラ歩く大人が指で数える程しか居ない。そんな大人達もギリギリ人の形を保っているくらいだ。食べるものも無く、場所に寄っては食うか食われるかなんて所もある。そんな所から来た人は口の周りに赤い液体が着いて乾燥していたり、片目や片足が無く怯えた様子で走って来たりしている。
日本の話はさておき僕は今、やっと身の安全を少し確保出来た。昨日木造住宅を発見し、暫くはここで暮らせるだろうか。なんて考えているとミシミシと不快な音がし、いきなり崩れた。木の柱が腐っていたのだ。気付いた時にはもう遅く、必死に走って逃げても倒壊には巻き込まれた。だが今日やっと抜け出せたのだ。上半身は無事だったが、下半身は長く圧力がかかっていたからかとても痛い。内蔵も傷んでいるだろうか。
そんな事を考えているといきなり腹痛が襲い、僕は盛大に嘔吐した。飲み水も確保出来ていない中で脱水になるのは不味いと思って止めようとするも、僕は医療を触った事も無いただの一般人だ。止め方なんて知る由もない。そのうち赤黒い物が混じってきた時、やっと僕の嘔吐は止まった。どっと疲れて、僕は膝から崩れて尻もちを着いた。水が飲みたいがもう動ける力は無い。そんな時、僕の頬に水滴が落ちて来た。状況を飲み込むその刹那、バケツをひっくり返した様な雨が降って来た。そういえば最近雨は降っていなかった様な気がする。大規模なスコールだろうか。そんな事を考えながら僕は手を桶のようにして水を飲んだ。雨のお陰で大量に飲むなんてことは無く、吐き戻さず飲めた。最近は異常気象が多い。またなにか大きな事が起きるのだろうか。
倒れた木造住宅の前でずっと居るのも意味が無いので、僕は元東京を目指した。