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『お誕生日おめでとう、イザナ。』
「…ん」
8月30日
私の大好きな人が産まれた日
昔は私の方がイザナよりも背丈が高かったのに、今では少し顔を上げないと彼の顔が見れない。
声も昔よりずっとずっと低くなっていて、体も頑丈。
『ほんっと大きくなったね…昔はこんなんだったのに。』
そう我が子の成長を喜ぶ母親のような表情を浮かべ、右手の指で小さいものを摘まむような仕草をする私の頭をイザナが軽く殴る。
「んなチビじゃねーよ、チビ」
『チビって言う方がチビなんだよ、チビ』
「あ?」
そう顔を顰めるイザナだが、どこか表情はいつもよりも柔らかい。
『あ、忘れないうちに…はい、誕生日プレゼント』
「キーケース?」
そう、キーケース
イザナの目の色と、同じ色をした熱帯魚のイラストが描かれているキーケース。
『これ見た瞬間、絶対イザナにプレゼントしようって決めたんだ』
バイクの鍵とか入れれるでしょ?と微笑みながら言葉を付け加える。
「…ありがとう、嬉しい。」
いつもよりも少し頬を朱色に染め、目をそらしながらそうお礼を伝えてくれるイザナをつい可愛いと思ってしまう。
『どういたしまして!』
何の変哲もない幸せな日々を磨り潰していくたびに自分の細胞の一つ一つにイザナとの思い出が刻み込まれていく。
恋を知ったのも、愛を知ったのも、光を知ったのも全て彼のおかげ
『おめでとう、大好きだよ。』
キーケースをプレゼントする意味
「いつも一緒にいたい」「大切にしてね」
遅れてほんっとごめんね🥺🥺🥺